ビーニャ ウィリアム フェーヴル チリ エスピノ カベルネ ソーヴィニヨン 2020
水はけのよいサン ルイスの畑の葡萄から造られます。収穫量を抑えた品質の高い葡萄を、選果テーブルで厳しく選別します。破砕して、240hlのステンレスタンクに入れ10日間低温でプレマセラシオンを行い、果皮から色とアロマを抽出します。発酵中、1日に2回のポンピングオーバーと、その期間中に1〜2回のデレスタージュをします。発酵後のマセラシオンは10〜12日間、その後、マロラクティック発酵させます。フレンチオークの225Lの樽(2〜5年樽)で8ヶ月以上熟成、その後6ヶ月以上瓶で熟成します。
テイスティング コメント
紫がかった濃いルビーレッド。やや深みがあり艶やか、粘性は中程度より高め。香りにはブラックベリーやカシスなどの黒系果実を基調にプラムジャム、クローブやブラックペッパーなどのスパイス、ナツメグ、乾燥したハーブ、ユーカリ、樽熟由来のバニラやチョコ、コーヒー、ローストしたオークの香りが混じりあう。時間の経過とともに、キャラメルやリコリスのような甘やかな香りも現れ、よく熟した豊かなアロマが鼻腔をくすぐる。アタックはソフト。膨らみのあるジューシーな果実味が溢れんばかりに口中に広がり、辛口にして心地よい残糖感を伴う。カシスリキュールや煮詰めた黒のベリーやチェリーを思わせ、溶け込んだタンニンはキメ細か。過熟した感が無く、酸もバランスがとれており、全体に洗練されたフルボディ。力強さに加え、しなやかさも併せ持つエレガントなスタイル。
ビーニャ ウィリアム フェーヴル チリ
ビーニャ ウィリアム フェーヴル チリは、生産量の限られた「ブティック ワイナリー」です。フェーヴル チリのあるアルト マイポは、アンデスの麓を這い登る場所で、山から吹き降りる涼しい風と土壌の影響を受けています。そこにあるワイナリーは、「マウンテン グロウン ワイナリー」と呼ばれ、その多くは500~550mにありますが、フェーヴル チリは、さらに高い600~1000mにあります。
各地で収穫された葡萄はセラーのあるサン・ルイスまで運びます。その間の劣化を防ぐために、収穫は早朝に行い、6~7時の気温の低い時間帯にトラックで運びます。収穫は全て手摘みで、土壌や熟成具合を見て区画ごとに行います。土壌が違うと、葉落としから収穫まで、全てのタイミングが異なります。収穫を3回に分けると、その分手間はかかりますが、それが品質に繋がっています。また、葡萄の状態は、分析値も参考にしますが、最終的には実際に葡萄を食べて、種の色と味わいで判断しています。ただし、「大切なのは選別を熱心に行うことではなくて、良い葡萄を収穫できるように育てること、収穫の時期を正しく判断すること」。なお、グラン キュベは、セラーに運ばれた後、揺れる選果テーブルでさらに選別します。
フェーヴルの経験とエノロジスト達のノウハウが、最良のワインへと導く
シャブリのウィリアム フェーヴルと、畑を所有するピノ家との共同経営。2004年まではフェーヴルがワインのスタイルを決めていましたが、体調が悪化したためにチリに頻繁には来られなくなったため、徐々にピノ家が引き継いでいます。現オーナーはビクトール ピノ(1935年生)、ワインメーカーはフィリップ ウリベ、アグノロミストはニコラス ヤヌシです。さらに、ブレンド アドバイザーとしてイタリアワイン界の重鎮「テスタマッタ」のアルベルト アントニーニ氏を招聘したことにより、単に力強く濃いワインではなく、「エレガンス」を備えた味わいへと見事なまでの変貌を遂げています。