エスプリ・ド・パヴィ 2011
醗酵:ステンレスタンクで主醗酵後、マロラクティック醗酵
熟成:フレンチオーク樽にて15カ月間(パヴィかモンブスケで使用された樽を使用)
テイスティング・コメント
エッジがオレンジがかった濃いガーネット。粘性は高め。香りはウッディ、かつスパイシーなオークのノートを基調とし焙煎したコーヒー豆やダークチョコのヒント。黒いベリーやチェリーに、アニス、唐辛子、ペッパーなどスパイスの香りが豊かに広がる。新鮮で香りがはっきりとしておりミネラルのニュアンスが洗練さと深みを与える。口に含むと、丸くしなやか。タンニンは緻密で、フレッシュな酸が味わいを支え、凝縮度の高い果実感で満たされる。しっとりとしていてシルキーなテクスチャー、ボディは力強くまろやかで、コクとリキュールのような旨みを感じる。開放的なアフター、余韻も長く楽しめる。合わせるお料理は、牛フィレや仔羊のグリル、ローストチキン、煮込みハンバーグ、茸料理、スモークサーモンなど。
2019年5月試飲
エスプリ・ド・パヴィ
サン・テミリオンの頂点に立つシャトー・パヴィが造る、リーズナブルなサードワイン。ファーストワインで使われた樽を贅沢に使い、パヴィのエッセンスを楽しめます。
シャトー・パヴィ(サン・テミリオン第1特別級A - 2012年昇格 -)
講談社『 BORDEAUX ボルドー 第4版』 ロバート・パーカーJr.著より以下抜粋
パヴィはサン=テミリオンの第一特別級全体の中で、最大の畑を持っている。生産量は隣人であるオーゾンヌの7倍、また畑の隣接しているラ・ガフリエールの2倍である。このため、パヴィは世界中に広くその名を知られている。
畑はサン=テミリオンの町の南東(車で5分の距離)にあたる、サン=テミリオン地区の東の丘陵斜面というすばらしい位置にあり、コート・サン=テミリオンの1つとなっている。歴史的に見ればここの畑には、オーゾンヌと共に、4世紀にはもうローマ人によってブドウが植えられていた。
チリでの牧場経営を断念した後、1967年以降パヴィの仕事に携わっていたジャン=ポール・ヴァレットが、1998年までパヴィを所有し経営していた。彼はサン=テミリオンで最も気さくな経営者の1人であり、その親切なもてなしと、ここがこの地方で最も興味深い石灰岩でできたワイン・セラーを持っていることとがあいまって、パヴィは、この地区を訪れる観光客が必ず足を運ぶシャトーとなっていた。
その生産量の大きさと人気にもかかわらず、ペルス家が買収する前のパヴィは、サン=テミリオンの一流シャトーの中で最高の実績を誇るシャトーとは言えなかった。ワインが軽く、色合いが弱々しすぎるヴィンテージが多く、早熟すぎたり褐色化するのが早すぎたりしたのである。幸いなことに、この不安定な時代は過去のものとなった。しかし、この銘柄は若いうちに飲めるサン=テミリオンではない。たいていのヴィンテージは、ことに1980年代、そして1990年代初めのものは、若いうちは頑固なほどに硬く、熟成するまで最低7~10年、瓶で寝かせる必要がある。1990年代初めのワインは特に期待はずれだった。ヴァレット氏がこのシャトーを手放すにあたって、このことが大きな原因となったことは間違いない。ペルス家による最初のヴィンテージは1998年であった。彼がわずか5年で達成した品質は今日のボルドーで最も関心を集める話題の1つとなっている。
パヴィは最も高価なサン=テミリオンの第一特別級となった。
一般的な評価
このシャトーは、サン=テミリオンで最も大切にされてきたテロワールの1つであり、1997年以来、シャンタルとジェラール・ペルスによって運営されている。ペルス家は畑とセラーに相当な投資をして、できる限り最上のワインをつくるために出費を惜しまなかった(収量の低減、小型の開放式の樽の発酵槽で発酵、樽内マロラクティック発酵、ミクロ・ビュラージュ、澱と接触させたままでの熟成、清澄及び濾過処理なしでの瓶詰)。その結果、テロワールのエッセンスが表れ、並はずれたフィネスと芳醇さ、そして潜在的な複雑さを持つワインになった。この見事な指導者の下で、ますますパヴィは右岸のラフィット・ロートシルトのようになっている。瓶の中に入っているものでワインを判断するのであれば、パヴィは一級の品質を持った夢のようにすばらしいシャトーになったのであり、並はずれたエレガンスとけたはずれの力強さの融合を感じさせてくれる。しかしながら、どういうわけかパヴィは、最近のヴィンテージにおいてその品質に見合うほど商業的には成功していない。おそらく、ペルス家以前のワインに好ましくないイメージがあること、また、ペルス家をめぐる不当な論争のせいだろう。