ケース・キーレン リースリング・ホッホゲヴェクス グラーハー・ヒンメルライヒ ハルプトロッケン 2017 やや辛口
ヒンメルライヒの畑は標高120~250m、南南西向き、斜度は50%~70%の急斜面です。土壌は深く、主に青粘板岩とミカ(雲母)で構成されており、たいへん水はけのよい場所です。平均樹齢は30年です。収穫は10月初旬に行います。アルコール発酵は基本的に天然酵母を使い、ステンレスタンクで行います。熟成もステンレスタンクで6ヶ月行います。洗練された酸とやわらかな甘さが非常にバランスよく感じられます。
評価
2017VT ラインラントファルツ州品評会:金賞受賞
テイスティング・コメント
グリーンを帯びたレモンイエロー。粘性は中程度より低め。アロマは華やかな香りが印象的でピーチ、ネクタリン、リンゴのコンポート、カモミール、ジャスミン。そして爽やかな柑橘類の皮、ミネラルのノートが混ざり合う。味わいはフレッシュかつジューシー。果実味に溢れほんのりと甘さが残り、この甘さが洗練された酸を引きたてる。表情豊かで魅力的、しなやかでスムーズな飲み心地の良さ。甘辛のバランスが長けている。合わせるお料理は、食前酒、サラダ類、魚介のマリネやカルパッチョ、シュークルートなど。
2019年5月試飲
ケース・キーレン
アイヒェルマン&ヴィヌム★★★/★★★★★、ゴーミヨ2房
1648年設立の歴史ある生産者
ケース・キーレンはモーゼル中流域のグラーハ村にある、全くの家族経営の生産者です。設立は今から約370年前の1648年です。現在は、12代目の兄のエルンスト-ヨセフ・キース(トップ写真左、醸造、販売担当)と弟のヴェルナー・キース(トップ写真右、栽培担当)の兄弟が30年にわたり、ワイン造りを行っています。生産するワイン全体の60%が辛口、20%がオフドライ、20%甘口です。エルンスト-ヨセフの息子ニクラウス(トップ写真中央)は、将来13代目を引き継ぐべく、現在ガイゼンハイム大学で醸造、栽培を学んでいます。
モーゼル中流域の名だたる畑を所有
グラ―ハー・ドームプロブスト、グラ―ハー・ヒンメルライヒ、エルデナー・トレップヒェン等のモーゼル中流域の著名畑をはじめ、ケステナー・パウリンスホフベルグ、キンハマー・ローゼンベルグにも畑を所有しています。畑は急斜面にあるため、畑仕事のほとんどを手作業で行います。所有する畑は25の様々な区画に分かれており、葡萄の樹齢は30年~50年です。グラーハでは1988年に区画整理があり、最後に植え替えを行ったのは1988年になり、最も若い葡萄樹で樹齢30年です。
グラーハー・ドームプロブスト
グラーハー・ドームプロブストに2ha所有しています。8区画に分かており、土壌はグリマシーファー(Glimmer schiefer・雲母片岩)という細かく砕かれたスレート(灰色粘板岩と青色粘板岩)を含む水はけのよい土壌です。グラーハー・ヒンメルライヒに比べ斜度がきつく、最もきついところで70%以上の斜度があります。
グラーハー・ヒンメルライヒ
グラーハー・ヒンメルライヒにも2ha所有しています。12区画に分かれており、土壌はグラーハー・ドームプロブストと同じくグリマシーファー(Glimmer schiefer・雲母片岩)です。1988年に植え替えを行ったため、樹齢30年です。ここも斜度70%近い傾斜があります。「ヒンメルライヒの畑は、葡萄の枝を整枝するため支柱(ポール)が古くなったため、今年取り換えを行わなければなりませんでした。土壌が硬く、急斜面のため、大変な作業でした。」とヴェルナーは語ります。
ドームプロブストとヒンメルライヒの一般的な特徴
どちらも同じスレート土壌ですが、ドームプロブストはヒンメルライヒより地中の保水性が低いため、力強さを持ちつつも、エレガントで洗練されたフレイバーを持ちます。一方、ヒンメルライヒは葡萄が熟すのに時間がかかりますが、パワフルで長期熟成の可能性を持ったワインが出来るとされています。
低温で長い発酵期間が長期熟成できるワインへの決め手
ケース・キーレンでは基本的には天然酵母によるきわめて長い発酵期間をとり、きめ細かく、繊細な味わいを表現しています。発酵温度はおよそ14~15度、発酵期間はおよそ80日から120日間です。(ヴィンテージやワインによって異なります)
低温でゆっくりと長い期間発酵させることで、ワインがゆっくりと成熟し長期熟成の可能性を持ったワインができると考えています。また、「ゆっくり発酵させることで、アルコール発酵中に生成されるCO2の発生もゆっくりと進み、マストに与えるCO2の負荷少ない。そのため、発酵が良い状態で進んでいれば、セラー内は無臭で、ボトリングしたばかりのワインはアロマがニュートラルですが、次第にアロマが出てきます。」とエルンスト-ヨーゼフは語ります。