ビーニャ・ファレルニア ナンバー・ワン 2018
フレサッティが、オリヴィエ家のために造ったワインです。オリヴィエ家は、アルドの母親、アルド、そして息子と、チリに移ってから3世代目になりました。そこで、3種類の葡萄を使って最高のワインを造ろうと考えたのです。葡萄は手摘みし、15kg入りの小さなかごに入れます。収穫した葡萄は優しく破砕します。マセラシオンは10度で48時間行ないます。発酵は22〜24度で10日間行い、その後1週間醸しをします。ステンレスタンクでマロラクティック発酵します。カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーはフレンチオークで、カルメネールはアメリカンオークでそれぞれ12ヶ月樽熟します。ブレンドし、3ヶ月タンクで置いてから瓶詰します。
テイスティング・コメント
艶のある暗赤色。粘性は高め。ブラックベリーやラズベリー、カシスのアロマに、特徴的なユーカリ、ミント、ブラックペッパーのヒント。そして木樽由来のバニラやモカ、トーストなどスモーキーな香りが広がり、木材、レザー、タール、動物的なニュアンスをもつ。深く凝縮感が漂う複雑なブーケが魅了する。口に含むとなめらかでリッチ、たっぷりとした旨みとともにアルコール感が口内を支配する。強い粘性(アルコール度は高く15%)を感じつつ、タンニンはビロードのようにきめ細かくしっとりとした質感と骨格が感じられる。程よい肉付きと味わい深さ。まろやかなコクが備わっており香り同様に深みが感じられる。合わせるお料理は、ペッパーを効かせたステーキや焼肉、仔羊のロースト、バーベキュー、野菜のソース炒め、熟成チーズなど。
2019年5月試飲(2015年ヴィンテージ)
ビーニャ・ファレルニア
エルキ・ヴァレーに住むアルド・オリヴィエ・グラモラと、イタリア トレンティーノでエノロゴを勤める従兄弟ジョルジョ・フレッサティとの出会いから、1998年に設立されたのがビーニャ・ファレルニアです。
フレッサティは、1995年に観光で初めてエルキ・ヴァレーを訪れました。その時、「どうしてこの素晴らしい渓谷でワインを造らないのか!」と思い、翌日にはワイン造りを決意していたそうです。それからというもの、風や湿度、気温などの気候条件を数時間おきに、毎日計測し、徹底的な調査を行ないました。調査は2年間続き、1997年にベストだと判断した場所に葡萄を植えました。それまで生食用やピスコ用の葡萄しか造られていなかったこの地でワイン造りを始めることは革新的な出来事でした。情熱と技術、チリの大学のアグロノミストのサポートによって、主要な生産地からはるか遠く離れたエルキ・ヴァレーを、計り知れないポテンシャルをもった素晴らしいワインの畑に変貌させるという目標が、二人の原動力になっています。
畑はエルキ・ヴァレーの中の4箇所にあり、それぞれが特有の気象条件をもっています。ティトンは、標高350mで海岸から近く、海からの冷たい風のため標高が最も低いにもかかわらず、一番冷涼な畑です。ここではセミヨン、リースリング、シラー、サンジョヴェーゼ、ソーヴィニヨン・ブランを栽培しています。ペドロガールは、標高600m、広さは40haあります。カルメネール、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーを栽培。なんと川の流れを変えて葡萄畑を作ってしまいました。ビクニャは、標高600m、畑を横断するように灌漑用の用水路が引かれています。カルメネール、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨンを栽培。ファンタは、標高1700~2070m、広さ30ha。おそらく世界で最も高い場所にある葡萄畑のひとつで、日中は焼けるほど暑く、日が落ちると急に寒くなるという、寒暖差の激しい場所。ここはペドロ・ヒメネス、ムスカテル、ソーヴィニヨン・ブランが栽培されています。他の畑は石ころだらけですが、ここは土しかありません。
発酵用には人工酵母、マロラクティック発酵は自然酵母を使用しています。タンクやボトリングマシーンはイタリアから輸入したものを使用しています。ステンレスタンクは、温度を同じに保つため、厚さが12cmもあるものを選んでいます。樽はフランス産とアメリカ産を使っています。どちらもカントンというメーカーのもので、ホワイトチョコレートのような甘さを持った味わいと、タンニンに丸みがでるという特徴があります。現在、樽のサイズは225Lだけですが、今後は大樽に移行していく予定です。瓶詰め前のフィルターは、赤は1回のみ、白はマロラクティック発酵をしないので二次発酵を避けるため、2回通します。特徴的なワインのラベル(チュンチュ・シリーズを除く)は、インカ文明の地上絵からとったもので、歴史を尊重したいという想いからデザインに採用しています。