マルティン・ヴァスマー シュラッター・マルテザーガルテン シュペートブルグンダー 2015
ヴァスマー醸造所の村名格にあたるワイン。シュラット村のマルテザーガルテンという区画で黄土粘土混じりの石灰岩土壌。収量は40hl/ha。80%は新樽のバリック。残りは2回目以降のバリックを使用。
テイスティング・コメント
艶、赤みの強いルビーレッド。粘性は高め。ラズベリーや熟したプラムなど力強い果実香が印象的で、バラ、ローリエ、ドライハーブのヒント、芳しいオークのノートが混ざり合う。バニラや香木、コーヒー、ややスモーキーな香りで、シナモンやクローブなど、スパイスのニュアンスがより果実感を引き立たせる。口に含むとスムーズで、豊富な果実味と絶妙な酸とのバランス。濃縮感が漂い、旨みがしっかりと凝縮し溢れんばかりの広がりをもつ。親しみやすくフルーティーで、それでいて芳醇な味わい。フレーヴァーに富んでおり、タンニンはキメ細やか、果実を少し煮詰めたような心地よい甘さが余韻に感じられる。近づきやすく、美しいフィネスを備えたフルボディ。合わせるお料理は、鴨肉のロースト、豚肉のプラムソース添え、ローストビーフ、アスパラの牛肉巻き、スモークベーコン、ジビエなど。
2019年5月試飲
マルティン・ヴァスマー
ドイツのトスカーナとも称される、温暖な天候と地形に恵まれたバーデン最南部のマークグレーフラーラント。西側と南側をライン川で囲われたこの地はフランス、スイス、ドイツ3国の文化が入り交じる非常にユニークな所です。ワイン産地としては平地に植えられるグートエーデル種(シャスラー種)の軽い白ワインで有名な所で、かつては旨安ワインの地として認知されていました。しかしながら20世紀後半よりにわかに世界的な注目を集めるワイン産地となりました。その旗頭がこのマルティン・ヴァスマー醸造所です。
黒い森の麓の南西向けの斜面には石灰岩、片麻岩など複雑な土壌形成を持つ丘が点在しています。さらにはどこまでも続く黒い森からの冷気はドイツ最南端の温暖な土地にぶどう栽培に最適な寒暖差をもたらしてくれます。
この地に生を受けた創業者マルティン・ヴァスマー氏は1961年生まれ。ルドルフ・シュタイナー教育の地元小学校を卒業後、一時は料理人を目指すも21歳にして故郷バートクロツィンゲン村に戻ってきました。両親が営むじゃがいもとトウモロコシの畑を引き継ぎ、新しくホワイトアスパラの栽培も始めます。自分で栽培したホワイトアスパラと地元のワインを味わうたびに覚えた違和感。もっとおいしいものができるのではないか。そんな感覚を持ち続けながら、なんと1997年に37歳にして醸造所設立を決意します。1998年にはブルゴーニュ、シャンボール・ミュジニーのアミオ・セルヴェルにて研修。物静かで、いかにも南ドイツ・バーデンの農家の典型的な素朴なお人柄ですが、もっといいワインを造りたい!という情熱はとどまるところを知らず、3haでスタートした醸造所は今や35haとなりました。南北30キロに渡って超優良区画を所有しています。
才色兼備な麗しの人、サブリナ・ヴァスマー氏
ドイツ ラインガウ地方の名門シュロス・フォルラーツを経てアルザスのトリンバックにて研修。その後3年間応募し続け最後は直接交渉してメオ・カミュゼにて研修を終えます。醸造所へ戻ってきたのは2015年。まだまだこれからが楽しみな87年生まれのサブリナさんから目が離せません。
サブリナ・ヴァスマー氏