ドメーヌ・ヴァンサン・ルグー ヴォーヌ・ロマネ 2016
Maizières Basses、Au-dessus de la Rivière の2区画合計で0.5ha。樹齢30年~70年のVV。新樽25%、1~5回使用樽75%で16ヶ月間熟成。
テイスティング・コメント
深みのある、紫がかったルビーレッド。粘性は中程度よりやや高め。香りはラズベリーやブルーベリーにキルシュ、スミレ、ミックススパイス、ハーブのヒント。気高く堂々とした中にも艶感があり楚々とした印象を醸し出す。その独特の深みからどこかミステリアスな雰囲気が漂う。口に含むとスムーズでなめらか。力強く濃縮された果実味と調和のとれた酸味、含んだミネラル分とが織りなし、味わいに質感がある。ビロードのような舌触りで、香り同様の艶っぽさと、ピノ・ノワールならではの上品さ、まとまりが良い。程よいボディ感に、果実の豊かさと慎ましさが共存し、輪郭は丸くエレガントなスタイル。官能的で、長く続く余韻には果実とオークのフレーヴァーが持続する。合わせるお料理は、牛や鴨肉、仔羊のロースト、コック・オ・ヴァン(鶏の赤ワイン煮)、ジビエ、赤身マグロの醤油漬け、アイナメやサワラのつけ焼き、トリュフ料理など。
2019年6月試飲
ドメーヌ・ヴァンサン・ルグー
アンリ・オーディフレッドがロマネ・コンティとラ・ターシュの栽培を担当していた頃、主にグラン・エシェゾーとエシェゾーの栽培を担当していた同僚の名を、ヴァンサン・ルグーといいました。
生涯にわたってDRC社に勤務した祖父ジェラルド、父ジャッキーに続き、1998年に丁稚としてDRC社入りした彼は、栽培から醸造、熟成、出荷まで幅広く従事した後に正社員となり、オーディフレッドと並ぶ若手のエースとして、グレート・ヴィンテージ2005年のブドウ栽培などを全うしました。
2006年、都合8年間務めたDRC社を退社した彼は、ヴォーヌ・ロマネ村から畑を上がった隣村コンクールに所在する実家のドメーヌに戻って土壌改良などを行った後、2008年、正式にドメーヌを継承し本格的に自社ビン詰めを開始。ここに、「ドメーヌ・ヴァンサン・ルグー」が誕生しました。
翌年からビオロジー栽培への切り替えを開始し、2010年から完全ビオロジー栽培となりました。
「栽培も醸造も、除梗率や新樽率などを除いて、基本的にはDRCでやってきたことをそのまま行っています。最も大事なことは、observation(オプセルヴァシオン/観察)。すべてにおいて、自分の目で見て確認するということです」。
理想とするワインは、「エキスがたっぷりと抽出されていて、かつ、濃くなく上品なワインです」(以上、ヴァンサン・ルグー)。
尚、親子3代にわたって勤めたDRC社との人的関係は今も深く、独立後しばらくは、同社オーナーのオベール・ド・ヴィレーヌ、および醸造長ベルナール・ノブレの両氏も連れ立って彼のドメーヌを試飲に訪れ、「価値ある助言」をしてくれたそうです。
栽培:2009年からビオロジー栽培への切り替えを開始し、2010年から完全ビオロジー栽培(2012年ECOCERT認証)。
醸造:白は除梗せず、赤は100%除梗する。天然酵母のみで発酵。赤ワインは無清澄。