シャトー・セルタン・マルゼル 2003
テイスティング・コメント
褐色がかったガーネット。粘性は高め。甘いブラックチェリーやブラックベリー、リコリスの香りにトリュフ、タバコ、皮革、湿った土のニュアンス。そしてダークチョコやココア、エスプレッソなど深い香りが印象的。口に含むとまろやかで、柔らかに広がる果実味は艶っぽく、程よく厚みが感じられる。目が開いていて、どこか懐かしくもあり、そして愛らしい。黒果実にチェリーのオー・ド・ヴィー漬け、リコリスの風味が混ざり合い、背景にスパイシーさと温かな大地、土っぽさ。表情豊かな果実味とほろ苦いオークの要素が一体となり甘さと苦みが共存する。申し分のないバランス。寛大で、かつ官能的である。果実と軽やかな酸の余韻が心地よい、まさに飲み頃のヴィンテージ。合わせるお料理は、牛・豚・鶏など肉料理全般、マグロ・茸料理、パスタなど。
2019年6月試飲
シャトー・セルタン・マルゼル
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート・パーカーJr.著より抜粋
セルタン・マルゼルは、クリスティアン・ムエックスによって新しく発表されたワインで、もとはセルタン=ジローの畑の1区画である。セルタン・ジローの畑の最良の区画はオザンナと名づけられ、別の1区画はヌナンに売却され、3つ目の区画をセルタン・マルゼルとして、メルロ100%のワインを造ることにした。悲しいことに、このシャトーからは1000ケースのワインしか生産されない。これが有名なル・パンに対して、クリスティアン・ムエックスが出した解答かもしれない。
一般的な評価
リブルヌのネゴシアン、ジャン=ピエール・ムエックス社所有のこのシャトーは、できてからまだ日が浅いため、評価の対象となるヴィンテージは2つしかない。ペトリュス、オザンナ、トロタノワといったスター級のシャトーを管理している技術チームが、ここのシャトーの醸造を担っている。畑も、ポムロールの中でも良い立地にある。