ロッカ・デイ・モリ スクインツァーノ・リセルヴァ・ウイリエーザ 2016
良い年にしか造らない限定キュヴェ
スクインツァーノのエリアは限られています。厳しい選別で造られます。畑は、白亜質の粘土土壌です。収穫は手摘みで行います。大きなオークの樽で発酵させ、醸しは45日行います。フレンチオークの樽で2年、瓶で1年熟成させています。すこし野生的でスパイシーな風味で、アマローネのような凝縮感があります。分かりやすいバニラ香が、かなり強く感じられます。強めのタンニン、口当たりは甘さがあります。
フランチオークの樽はジュピル(Jupille)産のもの。ジュピルとは樽材となる木を産するフランスの小さな森の名前です。ジュピルの木は内側がピンク色をしており、とても高価なのですが、たいへん木目が細かいため、長期熟成させるワインに非常に適しています。マッシミリアーノは毎年現地を訪れ、樽で購入するのではなく、木(樽材)そのものを購入しています。そして本当に素晴らしいヴィンテージとなったスクインツァーノにこれを使います。
「このワインについて最も重要なことは熟成しているということ、さらにまだ熟成できる品質であるということ。ワインを知っている人は熟成の良さをわかっている。」とマッシミリアーノは語ります。
テイスティング・コメント
艶のある、赤紫がかった濃いルビー。アロマは少し野性味がありかつ華やかで、魅力的な甘さが鮮やかに立ち昇る。熟したプラムやベリーフルーツに、ジャム、ラベンダーを想わせ、クローブやブラックペッパーなどスパイシーな香りがアクセント。他にハーブやアールグレイ、程よくスモーキーな樽のニュアンスも感じられる。口に含むとスムーズで、丸くしっとりとした質感に、ほんのりと甘さが残る。アマローネに似通った凝縮味がありたっぷりとしていてジューシー、そこにコーヒーやキャラメルなど樽の要素が深みを与える。味わいは層状、親しみやすい中にも飲み応えがあり円やかなコクと長く続く余韻をもつ。合わせるお料理は、仔羊や鶏肉の香草焼き、豚肉の生姜焼き、焼き肉、ミートソース系パスタやピッツァ、ラタトゥイユなど。
2019年8月試飲(2015年ヴィンテージ)
ロッカ・デイ・モリ
D.O.C.コペルティーノの中のモンテローニ・ディ・レッチェにある家族経営の生産者で、設立は1870年まで遡ることができます。現在、兄が社長、弟がエノロゴで、この二人を中心に7名のスタッフで運営しています。その年の作柄によって、造るアイテムを変え、良いヴィンテージにしか上のクラスのワインは造りません。
重さではなく、畑の面積で葡萄を買い取り
契約農家からは、単に葡萄を買うというより土地を借りて葡萄を造ってもらうというイメージで、1kg幾らではなく、1ha幾らという単位で買い取っています。葡萄は1本の枝に2~3房しか付けません。収穫は、夜中か早朝に100%手摘みで行い、良い葡萄のみ箱に入れます。
伝統的な仕立て方法「アルベレッロ・プリエーゼ」
「アルベレッロ・プリエーゼ」という仕立ての特徴は、葡萄の葉が生い茂っているため、葡萄の房に直射日光が当たるのを防いでくれるという点です。そのかわり、地面からの日光の反射によって、葡萄はたいへんゆっくりと成熟します。プーリアは、日中は非常に気温が高いため、収穫は暑さを避けて夜間に行います。すべて手摘み、よい葡萄だけを選別しながら行います。また、プーリアは気候に恵まれていて、太陽と風があるおかげで葡萄は病害から守られ、自然にビオロジックな葡萄栽培を可能にしてくれます。アルベレッロ・プリエーゼ仕立ての場合、収量は非常に低くなりますが、品質のよい葡萄を得ることが出来ます。一般的な仕立て(スパリエーラ、グイヨ等)の場合、1ヘクタール当たり15,000kgから20,000kgの収穫量のところ、アルベレッロ・プリエーゼの場合ですと1haあたりわずか5,000kg(通常の3分の1から4分の1)という低さです。
また、アルベレッロ・プリエーゼはワイン造りの面での重要性の他に、その希少性、葡萄畑の景観の美しさから、現在、ユネスコの世界遺産に申請されています。
伝統的な造り(発酵、熟成)
流行を追うのではなく、100年前から行われていた伝統的なワイン造りを今も引き継いで行っていす。「伝統的」とは、どのような造りかと言いますと、発酵を12,500Lのスラヴォニア産の大樽で行うということ。また、マセラシオンは、通常ですと平均7日間で行うところを、ロッカ・デイ・モリでは45日間と非常に長く行っている点です。
そして熟成はバリックで6ヶ月から24ヶ月(ワインによって熟成期間は異なる)行います。その後、ブレンドして5,500Lの大樽でさらに数ヶ月寝かせ、ワインを落ち着かせます。ボトリングの際は、清澄せず、フィルターもかけません。つまり、ワインは限りなく自然な状態で瓶詰めされ、さらに最低でも6ヶ月瓶熟を行います。
ロッカ・デイ・モリではボトルでの長い熟成を想定しているため、最高品質のコルクを使用しています。このコルクは通常のものよりも5倍の値段がするものですが、そのためにコルク臭の問題が発生することはありません。長期熟成が出来るワインであること、そして品質の高いコルクのおかげで、今も1938年のような古い年代のワインなど数多くキープされています。因みに1938年は彼らの父親の生まれ年だそうです。