シャトー・キルヴァン 2006
評価
2006VT ワイン・スペクテーター:90点獲得
テイスティング・コメント
濃いガーネット、艶・深みのある色調。ブラックベリーやプラムの香りに、スミレ、リコリス、スパイスのヒント。さらにバニラやチョコ、スモークなど上品な樽のニュアンスが加わりタバコ、なめし革、鉛筆、茸など、次々に熟成香が現れる。口に含むとスムーズでなめらか。しっとりとした質感に、豊かな果実味が伸びやかに広がる。ほんのりと甘いテイスト。そこに新鮮なスパイシーさとオークの要素が溶け込み、2006年に至っては格付けシャトーたる品格はもちろん、より果実感を感じ近づきやすさがある。タンニンはキメ細かく円やかで、穏やかな酸とバランスがとれている。合わせるお料理は、赤身肉を中心とした料理、鴨肉のロースト、ジビエ、すき焼き、豚バラ肉料理、茸料理など。
2019年12月試飲
シャトー・キルヴァン
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート・パーカーJr.著より抜粋
1995年までのキルヴァンもまたボルドーの1855年の格付けにふさわしい立場を維持しているとは言えない、マルゴーのシャトーの1つであった。マルゴーの多くの格付けシャトーと同じく、キルヴァンのこれまでの実績はぱっとしたものではなかった。私は昔からキルヴァンには批判的で、常に軽すぎて、さえない、精彩に欠けるワインは、格付けの威信や高い値段にそぐわないとみなしていたが、品質は1990年台半ばから劇的に復活してきた。
キルヴァンはライトボディで、コンパクトで、酸味の強いボルドーだったが、1990年代、それも、しばしば難しいヴィンテージのワインは、色が濃くなり、肉づき、ボディと力強さが増しているようで、印象的である。価格は、向上した品質ほどに上昇していないので、ボルドーの多くの格付けシャトーがつけている途方もない価格を嘆いている読者は、キルヴァンを見直した方がよい。
一般的な評価
キルヴァンは1990年代半ばから著しくよくなった。長年にわたって期待を裏切ってきたこのシャトーは復活し、少なくともその地位にふさわしいワインを、最上の時には三級に比肩するワインを毎年のようにつくっている。価格は依然としてリーズナブルである。力強さとエキス分がスタイルのワインである。「マルゴー特有のフィネス」が現れてくるかどうかは時の流れが教えてくれるだろう。