シャトー・ド・フュイッセ プイィ・フュイッセ テット・ド・キュヴェ 2017
40区画のブレンドによるアペラションの多様性を反映したキュヴェ。オーク樽60%、ステンレスタンク40%使用し、区画ごとに醸造。ミネラルを十分に含んだピュアな果実の香り、リッチで成熟感のある果実味が印象的です。
テイスティング・コメント
淡いイエローにグリーンのトーン。香りは熟したアプリコットやパイン、リンゴ、アカシア、砂糖漬けのレモンを想わせる魅惑的なアロマ。そして蜂蜜のニュアンスに、ほんのり甘さを伴うもミネラルを背景に洗練された趣。さらにヘーゼルナッツ、バニラ、スパイシーなオークのノートが混ざり合う。口に含むとフレッシュでふくよか。果実味は成熟感がありしっかりとした構造。率直で、エキゾチックなシトラスや花のやさしい含み香が緊張をほぐし軽くスモーキーなオークの要素がアクセント。丸みを帯びておりジューシーで、伸びやかな酸とのバランス。合わせるお料理は、甲殻類の料理、ムニエル、仔牛や白身肉のクリームソース煮、グラタン、エスニック料理など。
2020年2月試飲
シャトー・ド・フュイッセ
プイィ・フュイッセをブルゴーニュ地方南部の田舎酒からコストパフォーマンスに優れたスタイリッシュな辛口白ワインへと導き、世界に大きく広めたのが、5世代にわたってシャトー・ド・フュイッセを守るヴァンサン家。現当主は4代目のジャン・ジャック・ヴァンサンですが、造りの方は醸造学のディプロマをもつ息子のアントワーヌが取り仕切ります。
シャトーは15世紀に作られた五角形の塔とルネサンス様式のポーチが特徴的で、総計35haのブドウ畑を所有します。プイィ・フュイッセには3つの単一区画もの、「ル・クロ」「レ・コンベット」「レ・ブリュレ」があり、「テット・ド・クリュ」と呼ばれるキュヴェは最良の区画を選び抜きアッサンブラージュしたものです。また、「ヴィエイユ・ヴィーニュ」は1929年に植樹された古木も含め、若くても30年以上、平均樹齢50年のブドウから造られています。
栽培方法はリュット・レゾネを実践。醸造は、圧搾後の果汁は12〜18時間のデブルバージュののちアルコール発酵。サン・ヴェランとマコン・ヴィラージュにはタンクを用い、テット・ド・クリュは7割がオークの小樽(新樽は25%)、3割がタンクでの醸造となります。単一区画ものとヴィエイユ・ヴィーニュは100%樽発酵・樽熟成。レ・ブリュレとヴィエイユ・ヴィーニュは新樽100%、ル・クロの新樽率は70%、レ・コンベットには新樽を用いず、3〜5年使用済みの古樽で醸造を行います。
マロラクティック発酵はヴィンテージごと酸のバランスを見たうえで決め、2003年や2009年のようにまったくしない年もあります。2009年はバトナージュもしませんでした。ジャン・ジャックの時代は樽香が顕著に感じられたシャトー・ド・フュイッセのプイィ・フュイッセですが、アントワーヌが醸造を見るようになり、より洗練され、バランスのとれたワインへと進化しました。新樽100%のレ・ブリュレさえ、新しい時代を予感させるスタイルです。