ジェムス・リシャール(ファミーユ・リシャール・フリニョー)プレミス・デュヌ・ヌーヴェル・ジェネラシオン・ブリュット グラン・クリュ 2011
年産僅か1076本! 最高の区画から造られるブラン・ド・ノワール
1965年と1982年に植えられた、計0.12haという非常に小さな2区画のピノ・ノワールのみを使用。熟成に由来する非常に複雑なアロマには、ヘーゼルナッツやアーモンド、バターやカラメルの要素があります。熟成による複雑さと、まさにAyというべき立体的に、縦横に膨らむ丸さ。フィネスに溢れた至極の一本!
ドサージュ: 4.22g/L。
テイスティング・コメント
薄っすらと琥珀がかったゴールド。リンゴのコンフィやドライフルーツ、レモンピールの香り。加えてナツメグやジンジャー、炒ったアーモンド、ヘーゼルナッツ、溶かしバター、カラメルのニュアンスが混ざり合う。長期熟成による複雑なブーケ、コーヒーやタバコ、シェリーのような香りも現れる。口に含むとふくよかな厚みがあり味わいは芳醇。ドライ感のある果実味で、ピノ・ノワールならではの力強さとしっかりとしたストラクチャーを感じさせる。キメ細かな泡と綺麗な酸が絶妙のハーモニー。凝縮感がありかつスマートで、繊細さを合わせ持つ味わい深き逸品。フィニッシュに心地よいほろ苦さ、余韻の長さも突出している。合わせるお料理は、蒸しアワビ、海老のクリーム煮、鶏肉やオマールのロースト、フォアグラ、茸料理など。
2020年4月試飲
リシャール・フリニョー
1905年にシャンパーニュ造りを開始したリシャール・フリニョーは、アイとマルイユ・シュル・アイに畑を所有しています。元々エペルネの栽培家でしたが、1918年にポテンシャルを見込んだアイに拠点を移し、現在に至っています。かつては自社畑からシャンパーニュを造る一方、ネゴシアン部門も運営していましたが、幼少の頃よりシャンパーニュ造りの手ほどきを受けてきた4代目の女性当主ナデージュ・リシャール・フリニョーは所有畑のテロワールをより反映したクオリティの高いシャンパーニュを求め、息子ジェムスとともに1998年からレコルタン・マニピュランのみに専念しています。
自然な果実をシャンパーニュに留めることをモットーに、栽培にはリュット・レゾネを採用。ベースワインの醸造では、果汁は一番搾りのキュヴェのみ用い、ブドウが本来持つ酸を変質させないよう、マロラクティック発酵は行いません。わずか4haの畑から生み出されるシャンパーニュは年間平均4万本。
『最も心に留めているシャンパン・ハウスのひとつ』RJ
非常に小規模な蔵ゆえに知名度は低いですが、これまで8,500種以上のシャンパーニュを試飲してきた評論家リチャード・ジューリン氏が『最も心に留めているシャンパン・ハウスのひとつ』と3ツ星評価する優れた造り手です。彼は著書の中でリシャール・フリニョーをこう評しています。「オークは使っていないが、フリニョーのワインのリッチさはボランジェを思わせる。このシャンパーニュは酸フェチやエレガンスを見出そうとしている人向きではない。フリニョーの偉大さは、この小さな町からのものがそうあるべきであるのとちょうど同じように、パワーと味わいの豊かさを基としている」。彼の言葉通り、リシャール・フリニョーの魅力は豊かな果実と大らかさ。アイの特性を十二分に発揮したシャンパーニュなのです。
2015年より、マルイユの畑のブドウは全てネゴシアンへ販売し、さらなる高品質を目指すべくアイのブドウのみを使用したシャンパーニュ造りに方向を転換。この頃から遺産相続で兄弟ともめており、ジェムスは自分のシャンパーニュを造り続けるため母ナデージュと二人体制となる新生リシャール・フリニョーを2018年に設立。さらに非常に小規模であるが個人名を冠した二つのワイナリー(ジェムス・リシャールとナデージュ・フリニョー)も作り、プレステージキュヴェの生産に情熱を捧げています。ますます注目度の高まる彼らのシャンパーニュを決して見逃さないでください。