ジャック カシュー エ フィス ヴォーヌ ロマネ プルミエ クリュ オー ブリュレ 2016
特級リシュブールに隣接する1級畑で、ジャック カシューが所有するのは僅か0.06ha(600㎡)。半樽程度しかできない(年産150~200本)。「ブリュレ Brulee 焼け焦げた」という名前のとおり、陽当たりのよいクリマで早熟。煮詰めた黒い果実のアロマに濃密な風味。タンニンも豊富ながら緻密で、果実味の中に溶け込んでいます。
テイスティング コメント
深みのある紫がかったルビーレッド。香りは力強くピュア。熟したブラックチェリーやラズベリー、カシスを想わせ、バラやシナモン、チョコ、ココア、スモーキーなオークのニュアンスが混ざり合う。そしてミネラル、鉄、ジビエ、土っぽさ。僅かにチョークを感じる複雑なブーケが広がる。味わいは溢れんばかりの果実味とミネラル、美しい酸が一体となりしっかりとしたボリュームを感じる。濃厚でありながら、口当たりは丸く舌触りはビロードのようになめらかで、しっとりとしたテクスチャー。特級リシュブールに隣接し、ベリー系の力強い香りとリッチでくっきりとしたボディ感、その特徴は似たものがある。リシュブールは長熟タイプで少なくとも10年は寝かせる必要があるが、ブリュレは比較的早くから楽しめる素晴らしいストラクチャーを持っている。深みと広がりのある充実感、余韻が長く力強いフィニッシュ。合わせるお料理、仔羊や仔牛のロースト、牛肉の赤ワイン煮込み(ブフ・ブルギニョン)、ジビエなど。
2020年6月試飲
ジャック カシュー エ フィス
ジャック カシューの名前が挙がると真っ先に思い浮かぶクリマは、ヴォーヌ ロマネ1級のラ クロワ ラモーでしょう。ロマネ サン ヴィヴァンに隣接する0.6ヘクタールのこのクリマはカシュー家のモノポールというわけではありません。ほかにも2軒のドメーヌが所有していますが、カシューを代表するクリマとしてよく知られています。もともとサン ヴィヴァン修道院の畑として、今日のロマネ サン ヴィヴァンに含まれていた区画であり、80年代半ばにはジャック カシューが特級昇格をINAOに申請した経緯があります。ラベルに見える十字架(クロワ)はこのクリマの石垣上にあり、ヴォーヌ ロマネにある5つの十字架のなかでも一番古いものだといいます。
94年にジャックは引退し、現在、ドメーヌの当主は息子のパトリスが務めています。眼鏡をかけた長身の彼は高校教師のような風貌で真面目一徹。クリマの特徴や樹齢などこと細かに記憶しており、それをわかりやすく説明します。
カシューが所有する畑の面積は合計6.7ha。ほとんどがヴォーヌ ロマネですが、ニュイ サン ジョルジュとシャンボール ミュジニーにも小さな区画をもっています。村名ヴォーヌ ロマネはクリマごとに醸造し、5つの銘柄に分かれます。栽培はリュット レゾネを実践。ブドウは完全に除梗し、ステンレスタンクを用いて醸造します。11〜15度の温度で1週間の低温マセレーションの後、自生酵母による自然発酵。その後、17ヶ月の樽熟成を施します。新樽率は村名で3分の1、一級以上は100%と高めですが、パトリスの造るワインは全体に果実の凝縮度が高いため、新樽を受け止めるには十分です。
リッチな果実味を主体とするモダンな造りですが、各クリマの特徴を見事に引き出し、バランスがとてもよいものです。またベーシックなブルゴーニュやブルゴーニュ オート コート ド ニュイでもたっぷりとした味わいがし、高い満足度を得ることができます。