パトリック ジャヴィリエ ブルゴーニュ コート ドール ブラン キュヴェ オリゴセーヌ 2017
「キュヴェ オリゴセーヌ」は、ムルソー1級シャルムの下にあるペランという区画のブドウを使用しています。半分が村名、半分がブルゴーニュです(ペランの区画の2か所のアッサンブラージュ)。Oligoceneの名は土壌に由来します。ジャヴィリエの所有畑はACブルゴーニュですが、村名区画とテロワールの差は無いといわれています。たっぷりとしたボリュームもあり、素晴らしいフィネスを感じさせるブルゴーニュ ブランです。
熟成: 17~18ヶ月
テイスティング コメント
グリーンがかった淡いレモンイエロー。香りは洋梨や白桃、サンザシのアロマと、僅かにライム、グレープフルーツ、ヘーゼルナッツの香りが混ざり合う。そして火打石や石灰的なミネラルのヒント。樽香は上品でフレッシュな果実香が印象的。口に含むとなめらかでリッチな果実感。たっぷりとしていてオイリーだが、溶け込んだ酸とミネラルによりバランスがとれストラクチャーがある。紛れもなく格上の村名レベルに近く、温度が上がるにつれてボディ・深みが増していく。ACブルとしては突出した長めのアフター、果実とオークのフレーヴァーが爆発的に広がる。合わせるお料理は、シーフード料理、貝のリゾット、鶏モモ肉のクリーム煮など。
2020年7月試飲
パトリック ジャヴィリエ
ドメーヌ入りした娘が赤ワインを担当、次のステージへ向かうムルソーの造り手
ムルソーのパトリック ジャヴィリエも娘のマリオンがドメーヌ入りし、次のステージへと向かい始めました。ジャヴィリエ家はムルソーで何代も続く栽培農家の家系です。パトリックは1973年にディジョンの大学で醸造学のディプロマを取得し、翌1974年に初めて自分の責任のもと、収穫から醸造を行っています。
ドメーヌは1980年代から1990年代にかけて、ブドウ畑を急速に拡大させ、ムルソー、ピュリニー モンラッシェ、ポマール、そして特級コルトン シャルルマーニュ等を入手しました。さらに妻の実家の畑を賃貸耕作し、ペルナン ヴェルジュレスやアロース コルトンも手がけるに至っています。現在、賃貸も含めた所有畑の総面積は9haあまりです。
パトリック ジャヴィリエでは「キュヴェ オリゴセーヌ」「キュヴェ デ フォルジェ」と名付けられた2種類のブルゴーニュ ブランを造っていますが、前者はピュリニー寄り、後者はヴォルネイ寄りの区画から生み出されるワインです。テロワールの違いにより、前者はよりミネラルが強く、後者はリッチなスタイルとなります。
また村名ムルソーにも2つのキュヴェ「レ クルーゾ」と「テット ド ミュルジェ」というキュヴェがあり、前者はムルソー山の頂上の真下にあるレ クルーと1級ポリュゾの下に位置するレ クロトのアッサンブラージュ。後者は石切り場の下にある東向き斜面のカス テットと、ヴォルネイ寄りで西向き斜面のミュルジェ ド モンテリーとのアッサンブラージュです。性格の異なる区画同士の組み合わせが、独特のバランスと複雑味を見せています。
ドメーヌの看板である白ワインの醸造はいまだパトリックが譲る気配はありませんが、赤ワインの醸造に関しては2008年から、娘のマリオンが全責任を担っています。赤ワインの造りで特徴的なのは、ピジャージュを行わず、もっぱらルモンタージュで優しい抽出をすること。さらに2009年よりマリオンの発案で、さらに優しいデレスタージュをアルコール発酵の終わりに行うようになりました。
新樽率も適度で樽香がくどいこともなく、非常にバランスのとれたワインを造るジャヴィリエ。若いうちから楽しめる、スタイリッシュなムルソーです。