レ フィエフ ド ラグランジュ 2016
年々評価を上げているラグランジュのセカンド銘柄です。セカンドとはいえ格付けシャトーに匹敵する高品質なワインです。
テイスティング コメント
紫がかった濃いルビーレッド。赤や黒のチェリー、カシスリキュール、スミレ、ミントの香り。続いてタバコ、土、ミネラルのニュアンスに、繊細かつシャープなペッパーの香り。アタックはソフト。タンニンとジューシーな果実味が溶け込んでおり丸くしなやかなテクスチャー。爽やかな酸とも相俟って、バランスのとれたエレガントな味わいに仕上がっている。飲み心地がよく適度にドライ感。ボディは中庸で、アフターにほろ苦さと美しい酸の余韻を感じる。合わせるお料理は、赤身肉料理、仔羊のロースト 香草焼き、鴨肉の赤ワイン煮など。
2021年8月試飲
シャトー ラグランジュ
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート・パーカーJr.著より抜粋
ラグランジュは三級シャトーだが、1983年までは1960年代と1970年代の悲惨な品質のせいで評判に大打撃を被っていた。畑の立地はよく、珍しく分割されていないし、グリュオー・ラローズに隣接しているのだから、良好なワインを生み出せない理由はなかったはずなのだが。
日本の大企業であるサントリーに買収されたのは1983年だが、同社はシャトーとシェ(ワイン蔵)だけでなく、畑にも並はずれた改良を加え始めた。出資はいっさい惜しまなかったため、管理を行うマルセル・デュカスや、このシャトーの若くて熱心なエノロジストである鈴田健二といった有能な人々が、びっくりするほど短期間のうちにすばらしいワインをつくるようになった。
ワインの品質が向上しただけでなく、ラグランジュはいまや、静かな庭や、白鳥やカモが集う湖がある美しいシャトーとなったのである。
1985年以降のヴィンテージに何か特別なスタイルが見られるとしたら、印象的な風味の深みと密着したたっぷりのタンニン、香ばしい新樽、下地となる多汁性とふくよかさだろう。厳しい選別と、シュルマテュリテ(ブドウが過熟すること)の要素を持つ非常に熟したブドウを収穫しているおかげであるのは間違いない。明らかにこの新しい当主は20年強も熟成できるのに若いうちから魅力のあるワインをつくろうとしているようだ。
世界のマスコミは、メンツェロプロス家によるシャトー・マルゴーの並はずれた方向転換を喝采してきたが、1990年には『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が手本とすべき成功譚として一面で取り上げていたことには驚かされたものの、シャトー・ラグランジュにおける変化についてはあまり書いてこなかった。それでも今なお、このワインの価格は、向上してきた品質レベルにしてはかなり低く抑えられている。
一般的な評価
1960年代、1970年代には凡庸なワインをつくっていたが、日本のサントリーに買収されてからは目覚しくよくなった。現在の格付けに見合う価値があるが、サン=ジュリアンの他の有名シャトーと比べるとまだ知名度が低いため、それなりの良好なお値打ち品となっている。