ドメーヌ シャンベイロン コート ロティ シャヴァロッシュ 2018
ステンレスタンクで発酵、バリック20ヶ月(新樽30%)。アンピュイ村の斜面上部に位置する単一区画。年産わずか900本。
テイスティング コメント
光沢のある紫/ 濃いルビーレッド。香りは新鮮なブラックベリーやラズベリー、カシスのアロマに、オリーブ、ブラックペッパー、オリエンタルスパイス、コーヒー、スモーク香。口に含むとフレッシュでしなやか。ジューシーな果実味に富んでおり、目の詰まったタンニン、舌触りはシルキーで緻密な構造をもつ。力強くも驚くべきフィネスを感じ、現時点で若いが、それが魅力的でもある。非常になめらかなテクスチャー。ミネラルを含み、華やかさとスパイシーさが絶妙のバランスを保っている。今飲んで美味しく更なる熟成も期待できる。合わせるお料理は、仔羊のロースト・すね肉の煮込み、ジビエ、スパイスを効かせた赤身肉料理など。
2021年9月試飲
ドメーヌ シャンベイロン
フィネスとフレッシュさを兼ね備えた、ガストロノミックなエレガント ローヌ。
ローヌ地方の栽培エリアはローヌ川沿いに南北200km、東西100kmにも及び、その個性も様々です。大陸性気候の北部と地中海性気候の南部ではワインのキャラクターも大きく異なり、北部ではコート ロティ、コンドリュー、エルミタージュ、南部ではシャトーヌフ デュ パプが高級ワインの生産地として名を馳せています。そんな北部の珠玉のアペラシオン、コート ロティとコンドリューの生産者として、近年注目が高まっているワイナリーがドメーヌ シャンベイロンです。
1985年ベルナール シャンベイロンによって創設された小さな家族経営のワイナリーで、代々農業に携わってきた歴史を持ちます。2010年からはベルナールの息子マシューが2代目当主として指揮を執っています。父から引き継いだ5haの畑は全て北部に位置し、コート ロティとコンドリューに3.7ha、コート ロティの境界からわずか300mしか離れていないコート デュ ローヌを1ha、そしてコリーヌ ロダニエンヌに0.3haを所有します。ワイナリーのフラッグ シップは所有畑の半分以上を占めるコート ロティとコンドリューですが、知られざる優良IGP、コリーヌ ロダニエンヌも見逃してはならないワインです。
IGPコリーヌ ロダニエンヌは、北はリヨン、南はモンテリマール(コルナスから更に南に50km、南ローヌの入り口)までカバーし、栽培面積は約300ha。コート ロティ、コンドリュー、更にはエルミタージュまでを包括します。もともと北部ローヌにおいては渓谷が狭いことが著名なアペラシオンの拡大を制限しており、一部の活動的な作り手はAOC域外への拡大を試み新しい土地にシラーやヴィオニエを植え付けてきました。AOC域外の畑のワインは全てIGPコリーヌ ロダニエンヌとして販売されるため、偉大なアペラシオンと似たテロワールを持つワインも遥かにお手頃な価格で生産されています。その中でも選ぶべきは石がちな斜面に広がる冷涼な北部のテロワールで、特にコート ロティやコンドリューに隣接する畑です。より温暖で平野が多くなる中部や南部に比べ、ワインには緊張感やミネラル、エレガンスが備わるからです。テロワールの優位性に加え、その表現に優れた造り手が生み出すワイン、それこそが真にコスト パフォーマンスに優れた見逃すことの出来ないワインと言えるでしょう。そしてドメーヌ シャンベイロンは見事にこの2つを兼ね備えています。
ワイナリーの目指すスタイルは「フィネスとフレッシュさ」。畑は全て手作業、リュット レゾネで栽培し殺虫剤は使用しません。シラーの醸造では穏やかな抽出を心掛け、コンクリートタンクを用い発酵。熟成はバリックですが果実味を隠さないようキュヴェによっては新樽を控えています。またヴィオニエはステンレスタンクで発酵・熟成。通常酸が低くなりがちな品種ですが、シャンベイロンの畑は石灰を含むため、華やかなアロマがありながら十分な酸が保持され、そのバランスを取る為マロラクティック発酵も行っています。ボリュームと香りだけでなくしっかりとしたミネラルがあるシャンベイロンのヴィオニエは、他とは一線を画すガストロノミーなワインとなります。
シャーヴやシャプティエらとともに「北ローヌの最上生産者」に選出!
2010年にドメーヌを引き継いだマシューはまだ若く他のワイナリーでの修行経験はありませんが、近年、生産するワインはWA、Vinous、JRなど評価各誌で高得点を獲得、2018年にはデカンター誌で白・赤ともにシャーヴやシャプティエ、ギガルらと並び「北ローヌの最上生産者」「北ローヌのトップワイン」にも選出されています。実力、知名度ともに確実に高まっている北ローヌの隠れた優良生産者に世界中から注目が集まっています。