シャトー ピュイグロー キュヴェ ジョルジュ 2018
ル パンを手掛けるティエンポン家が、初代ジョルジュ氏へのオマージュとしてつくるマルベック主体の限定品!
1997年に亡くなった父ジョルジュへのオマージュとしてつくられています。マルベックが好きだったジョルジュのために、最高のマルベックが収穫出来た年のみ出回る限定品です。ブドウは、ティエンポン家が所有するシャトー ピュイグローのものを使用。ピュイグローは1946年にジョルジュ ティエンポン氏が購入し、83年からは息子のニコラが醸造を行っています。
評価
2018VT ジェームス サックリング: 94点
テイスティング コメント
艶のある紫 / 深いルビー。香りはカシス、ブラックベリーのコンポート、スミレのアロマにブラックオリーブ、ブラックペッパー、ナツメグなどのスパイスのノート。そしてトーストやローストしたコーヒー豆のようなニュアンも感じる。味わいはなめらか。凝縮した果実味ながらするすると口中に馴染み、兎角バランスの良さが光る。しっとりとしたシルキーな舌触りで、フレッシュな果実のエキスを十二分に感じながら広がってゆく。過熟感が無く実にエレガント。口当たりの良さから見落としがちになるが、アルコールは14.5度と高い。たっぷりとした味わいの中に上品さも兼ね備えている。合わせるお料理は、ビーフシチュー、牛フィレ・鴨肉のロースト、すき焼き、ブルスケッタなど。
2022年1月試飲
ティエンポン家
「ル パン」を手掛ける「ティエンポン」家
ポムロールの銘醸「ル パン」やサン テミリオンの銘醸「パヴィ マカン」など、右岸のトップ シャトーを手掛けるティエンポン家。ポムロールやサン テミリオンに限らず、リーズナブルなワインも手掛けており、コート ド フランの地で生み出した「ピュイグロー」はあまりにも有名な代表作です。一族の中でも、「ヴュー シャトー セルタン」のオーナーでもあるフランソワ氏は、醸造学校を卒業後、海外を渡り歩き学んだワイン造りの経験を活かし、高級ワインのノウハウをお手頃な価格のワインに活かしています。
ティエンポン家の歴史
ティエンポン家はベルギー出身の家系で、1847年からワイン商としてワインの販売に携わっていました。1924年、ジョルジュ ティエンポン氏(初代。Georges Thienpont 氏(1881-1960))がヴュー シャトー セルタンを購入し、ボルドーでワイン造りを始めました。その後、同じく所有していたシャトー トロロン モンドを1930年に売却。これは、世界恐慌の煽りで経済的に苦しく、当時はヴュー シャトー セルタンより名前が知られており価格の高かったことからトロロン モンドの方を売却するにいたったということのようです。
現在では右岸を中心に(コート ド フラン、カスティヨン、サン テミリオン、ポムロール、アントル ドゥ メール)多くのワインを手掛けるようになっています。ジョルジュ ティエンポン氏には13人もの子供がいらっしゃり、そのうちの何人かがワイン造りに関わっています。更にその次の世代がジャック ティエンポン氏やフランソワ ティエンポン氏などの“現役世代”となります。

ティエンポン家が所有(または経営)する主なシャトーの分布

ティエンポン家のワインの特徴
端的に言うと「右岸で」「家族経営品質で」「小規模生産」というのが特徴のティエンポン家。彼らが造るワインには、以下のような特徴が共通して感じられます。
・完熟した果実味(青みを全く感じないが、決して過熟ではない)
・メルロの肉厚で柔らかい果実味+カベルネ フランの華やかさと骨格
(ティエンポン家はカベルネ・フランを大切にしています)
・しっかり感じる美しい酸味
・熟れて質の高いタンニンが緻密に詰まっている
・良い樽感があるものの強すぎず、果実味を大事にしている
・アフターに口がスーッとするフレッシュ感とミネラル感
こういった特徴が相まって、綺麗にバランスが取れ、まとまりがある味わいのティエンポン家のワインは、単体で飲んでももちろん美味しいですが、お料理ともよく合います。
