ジャック カシュー エ フィス ヴォーヌ ロマネ レ シャランダン 2019
クロ ド ヴージョの近く、エシェゾーの下に位置する村名クリマ。ドメーヌはここ4区画、ほぼ1haの畑を所有。
テイスティング コメント
深みのあるルビーレッド。香りはスパイスを基調にラズベリーやスグリ、野バラが入り混じる華やかな芳香。そして動物的なニュアンスと、森の下草や大地の香りも感じる。味わいはフレッシュでジューシー。格調高いヴォーヌ ロマネにあって親しみやすく、溢れんばかりに口内を満たしていく。立体的なフォルムで舌触りはビロードのよう。まろやかで豊かに広がる果実味が魅力的。ソフトなタンニンが心地よくアフターの余韻も長い。合わせるお料理はコッコーヴァン(雄鶏の赤ワイン煮込み)、牛肉のリブ、仔羊のロースト、ジビエなど。
2022年6月試飲
ジャック カシュー エ フィス
ジャック カシューの名前が挙がると真っ先に思い浮かぶクリマは、ヴォーヌ ロマネ1級のラ クロワ ラモーでしょう。ロマネ サン ヴィヴァンに隣接する0.6ヘクタールのこのクリマはカシュー家のモノポールというわけではありません。ほかにも2軒のドメーヌが所有していますが、カシューを代表するクリマとしてよく知られています。もともとサン ヴィヴァン修道院の畑として、今日のロマネ サン ヴィヴァンに含まれていた区画であり、80年代半ばにはジャック カシューが特級昇格をINAOに申請した経緯があります。ラベルに見える十字架(クロワ)はこのクリマの石垣上にあり、ヴォーヌ ロマネにある5つの十字架のなかでも一番古いものだといいます。
94年にジャックは引退し、現在、ドメーヌの当主は息子のパトリスが務めています。眼鏡をかけた長身の彼は高校教師のような風貌で真面目一徹。クリマの特徴や樹齢などこと細かに記憶しており、それをわかりやすく説明します。
カシューが所有する畑の面積は合計6.7ha。ほとんどがヴォーヌ ロマネですが、ニュイ サン ジョルジュとシャンボール ミュジニーにも小さな区画をもっています。村名ヴォーヌ ロマネはクリマごとに醸造し、5つの銘柄に分かれます。栽培はリュット レゾネを実践。ブドウは完全に除梗し、ステンレスタンクを用いて醸造します。11〜15度の温度で1週間の低温マセレーションの後、自生酵母による自然発酵。その後、17ヶ月の樽熟成を施します。新樽率は村名で3分の1、一級以上は100%と高めですが、パトリスの造るワインは全体に果実の凝縮度が高いため、新樽を受け止めるには十分です。
リッチな果実味を主体とするモダンな造りですが、各クリマの特徴を見事に引き出し、バランスがとてもよいものです。またベーシックなブルゴーニュやブルゴーニュ オート コート ド ニュイでもたっぷりとした味わいがし、高い満足度を得ることができます。