シャトー ムーラン オー ラロック 2008
テイスティング コメント
深いガーネット。プラム、チェリー、甘草のアロマとコーヒー、ダークチョコレート、ロースト香。そして杉、ブラックペッパーなどのスパイシーな香り、タバコ、皮革のヒント。味わいは円やかで、ふくよかな果実味に熟したタンニンが絡み合う。熟成を感じながら持ち前のパワフルさは健在で、穏やかな酸とのバランスがよくしっかりとした芯の強さを感じる。バックボーンにはミネラル、ストラクチャーがありアフターに果実とオーク、燻したハーブのフレーヴァー。突出した長い余韻が印象的。
合う料理、牛やラム肉のロースト、スペアリブ、ジビエ、マスタードを添えた肉料理、ビーフシチューなど。
2022年8月試飲
シャトー ムーラン オー ラロック
オーナーであるエルヴェ家のルーツは、フランス王に仕えたブルターニュ出身の船乗りであったジャン マリー エルヴェ氏が、1607年、終の棲家としてサイヤン教区に定住したときに遡り、この地所の前には一族の起源を示すメンヒル(巨石記念物)が建てられています。
シャトーを世界に知らしめた立役者は、1977年から管理者となったジャン ノエル&ドミニク エルヴェの両氏。ジャン ノエル エルヴェ氏はフロンサックの村長を務めたこともあり、ワイン造りに並々ならぬ情熱を注ぎながら、一切の妥協を許さず邁進する熱血漢とのこと。15haの畑に植えられたブドウの三分の一は樹齢50年を超えており、丹念な手作業による管理のもと、「最も健康的で、最も純粋で、最も特徴的な」果実が収穫されます。選別台では適合レベルに達しない果実はすべて排除され、除梗後さらに6~8人のスタッフによって選別が行われ、最高のものだけが醸造に臨むことになります。自動温度制御されたタンクで、各品種のブドウが個別に発酵および浸軟され、最初の圧搾が行われた後マロラクティック発酵を行うために樽に移されます。そして瓶詰めされる前に15ヶ月または18ヶ月間の樽熟成が行われ、世に送り出されます。
ちなみに1928年もののムーラン オー ラロックを飲む機会に恵まれたロバート パーカー氏は、そのオールドものを『絶句するほど素晴らしいワイン』と激賞しています!
フランスAOCワイン事典(発行者 株式会社 三省堂)より抜粋
フロンサック Fronsac
フロンサック ~テロワール~
穏やかな海洋性気候の恩恵を受け、冬暖かく、雨も平均して降る(年間731mm)。ドルドーニュ河とイール川のおかげで、春の夜の霜のリスクが減り、夏の暑さが和らげられる。恵まれた地中海性気候である。ブドウ畑は、日当たりのよい丘陵の斜面に広がる。土壌は多様で、丘の麓は泥土と、粘土や砂の土質であり、丘を登ると粘土石灰質である。小丘や台地部分はヒトデ石灰岩が主流で、露出しているところもある。斜面や丘の上は、石灰分を含む粘土と砂岩が混ざり合った「フロンサックの軟質砂岩 Molasse du Fronsadais」とも呼ばれる土壌が基層で、水はけがよく、メルロ種とカベルネ・フラン種が充分に成熟することができる。
フロンサック ~ワインの特徴~
濃い紫やきれいなルビー色。香りは豊かで、赤い果実や胡椒あるいはスパイスの香りを放ち、樽香がある。味わいにはボディがあり、余韻も長い。しっかりとした骨格のワインで、タンニンは多く存在しているが攻撃的ではなく、熟成に向いている。メルロ種とカベルネ・フラン種のアサンブラージュから生まれる。気品があり、肉づきがしっかりとしていて複雑な個性のあるワイン。土壌によりトリュフ、ジビエ、ミネラルのニュアンスがあり、きめが細かい。豊かで肥えていて力強く濃密。