ドメーヌ ロベール グロフィエ ペール エ フィス シャンボール ミュジニー プルミエ クリュ レ ゾー ドワ 2018
レ ザムルーズの北に隣接する1級畑。ニコラ グロフィエによると、斜面の向きや小石の影響から「レ ザムルーズより繊細」。色調もレ ザムルーズより一段明るく、デリケートなタッチ。そういう意味ではよりシャンボール ミュジニーらしい性格といえるかもしれません。ストレートな赤い果実の香りがその印象をさらに後押しします。
テイスティング コメント
薄っすらと紫を帯びたルビー / ガーネット。香りはラズベリー、チェリー、スミレのアロマが広がりシナモン、トリュフ、ドライハーブの香りがアクセント。次第に甘草、下草、白胡椒のような香りも現れる。味わいはスムースでしなやか。心地よい酸を感じる美しい果実味はジューシーでありながらも品が良く熟した赤や黒の果実、甘草、クローブ、スパイシーなオークの風味が溶け込む。多層的な奥行き、タンニンはキメ細やか。ミネラルを背景に緻密な構造を持っておりボディは中庸、ミディアムボディ。締りの良い上品な酸味が余韻を引き伸ばし、可憐で繊細なアペラシオンを見事に体現している。
合う料理 ラム・鴨肉のロースト、鴨鍋、鶏肉の治部煮、茸料理、白身魚の天ぷら、チーズはブリー ド モーなど。
2022年9月試飲
ドメーヌ ロベール グロフィエ ペール エ フィス
ロベール グロフィエはモレ サン ドニ在所のドメーヌですが、所有畑の多くはシャンボール ミュジニーという稀有な造り手です。しかもシャンボール ミュジニーの偉大な1級畑レ ザムルーズ最大の所有者です。
世界恐慌から間もない1933年、ロベールの父ジュールが、レ ザムルーズに隣接する1級畑オー ドワや特級のボンヌ マールとともに手に入れました。ブドウの仕立てはブルゴーニュで主流のギュイヨではなくコルドン ド ロワイヤ。収量を抑えやすいことに加え、新梢を扇形に広げることで風通しをよくする効果があります。
現在、ボーヌの醸造学校で学んだ、ロベールの孫のニコラが、母親と妻のサポートを受けながら栽培と醸造の指揮をとっています。瀟洒なお屋敷はドメーヌ デュ クロ ド タールの隣にあり、醸造棟とは別棟の住居の下にはプロの訪問客を迎え入れる、清潔な瓶熟庫兼試飲ルームが用意されています。醸造棟もじつに清潔で、発酵と貯酒の両方に使われるステンレスタンクの生光りする様子は美しい。
除梗に関してはヴィンテージに応じ、2007年、2009年は完全除梗。2008年、2010年は3分の1が全房。2011年は40%が全房でした。現在はアイテムによっても割合を変えています。ジャスパー モリスMWの「インサイド バーガンディ」によれば、1984年までは100%無除梗で、それから後、1990年代は完全除梗だったそうです。8〜9度で10日間ほどの低温マセレーションの後、自生酵母による自然発酵。新樽率は村名ジュヴレ シャンベルタンで20%、1級レ ザムルーズで40〜50%、ボンヌ マールで50〜60%に留め、12〜13ヶ月間の樽熟成を施します。製樽会社はレモンとフランソワ フレールがお気に入りだそうです。
ロベール グロフィエのワインは最もベーシックなパストゥグランから果実味がみっちりと詰まっています。特級のシャンベルタン クロ ド ベーズですらタンニンは滑らかでしなやかなタッチ。したがって若いうちから楽しめながら、さらに熟成させるとまた新たな一面を見せてくれます。偉大な造り手のひとつです。