ドメーヌ ポンソ モレ サン ドニ キュヴェ デ グリーヴ 2018
プルミエ クリュのアルーエット(ヒバリ)に対して村名はグリーヴ(ツグミ)。ブラックベリー、ダークチェリー、それによく熟したラズベリーのアロマ。一般的な村名モレ サン ドニからすればデリケートなタッチ。タンニンはキメ細かく、ビロードのような喉越しです。
テイスティング コメント
輝きのある、紫がかったルビーレッド。甘酸っぱいチェリーやプラム、ブルーベリーの香りが豊かでスミレ、野バラ、スパイスのノートが混ざり合う。そして茸、下草、森林、なめし革の香りなど。味わいはしなやかで、丸みを帯びており伸びやかな酸味が調和。たっぷりとした旨みのあるピュアな果実味がじんわりと口内を満たし、質感はヴェルヴェットのようで気品がある。中庸のボディ感、ミディアムからフルボディ。まろやかなコクを備え綺麗な酸の余韻が心地よい。
合う料理 ローストビーフ、牛肉の赤ワイン煮込み、鴨肉のロースト、ジビエ、すき焼きなど。
2022年9月試飲
ドメーヌ ポンソ
モレ サン ドニにおける新興の大ドメーヌがデュジャックなら、伝統的大ドメーヌはポンソと言えるでしょう。その歴史はデュジャックより100年も遡ります。2017年、モレ サン ドニ村長も務めたジャン マリー ポンソの子息ローラン ポンソがドメーヌを去り、現在はローランの妹 ローズ マリーが5代目の当主を務めています。
ローズ マリーは、1997年からドメーヌに参画しており、醸造に関しては支配人代理も務めるアレクサンドル アベルが醸造責任者を担っています。ローラン ポンソと同じ哲学をもち、スタイルに変化はありません。
ポンソではブドウ栽培もワイン醸造も人の介入を可能な限り排除。ビオロジックともビオディナミとも異なるアプローチの自然栽培を行っています。剪定をコルドン ロワイヤにすることで樹勢を抑え、低収量を実現。腐敗果が収穫箱の中に混ざるだけで健全果に影響を与えるとして、選果は必ずブドウ畑で行います。手摘みはもちろんのこと、摘んだ房はまず昔ながらの篭に入れ、それを最大17キロ入りの箱に移した後に醸造所へと運びます。醸造所は4層構造のグラヴィティ フローでポンプは一切使用しません。
ブドウの状態はヴィンテージによって異なるため、その年々に応じた対応をとります。梗を残すか残さないか、ピジャージュの頻度はどうするか、そうしたことに一切決まりはありません。一方、発酵容器に使い古した木桶を使用し、熟成用の小樽も古樽(5〜20年もの)、酸化防止剤である亜硫酸の使用は極力抑えるという原則は毎年一貫しています。
亜硫酸はまだ発酵の始まらない破砕前に小量加えるものの、その後は窒素ガスや炭酸ガスなどの不活性ガスでワインを保護します。瓶詰め時にさえ亜硫酸の添加はいないこだわりよう。
クロ ド ラ ロッシュ、クロ サン ドニ、モレ サン ドニ1級クロ デ モン リュイザン ブラン。これらモレの珠玉のクリマがポンソを代表するワインですが、ここ10年の間にラインナップが大幅に増えました。シャルム シャンベルタン, クロ ド ヴージョ、コルトン シャルルマーニュ、コルトン ブレッサンド、シャンベルタン クロ ド ベーズ・・・。
かつてシャルドネやピノ ブランも混ぜられていたクロ デ モン リュイザン ブランは、今日、1911年に植樹されたアリゴテの古木100%から造られています。とかくシャルドネよりも劣ると見られがちなアリゴテですが、収量を抑えればこれほど見事なワインになるのかというよいお手本です。