エゴン ミュラー カンタ リースリング 2018
モーゼルとは気候の異なる地でのリースリングワイン造りにエゴンの情熱がほとばしる1本!
南オーストラリアでも最古に近い由緒ある畑、アーガイル ヴィンヤード。標高は400mを越え、非常に冷涼な地域で、表土は砂質 ローム、下層土は褐色粘土で鉄分を含む石が混じる土壌。
醸造: 手摘みで収穫し、8 時間低温浸漬。ワイナリーに生息する土着酵母で自然に発酵が始まります。6か月間シュールリーし、瓶詰め。12か月以上の瓶内熟成。
テイスティング コメント
グリーンがかったレモンイエロー。ライムやグレープフルーツなどのシトラスとほのかなトロピカルフルーツのアロマ。そしてスイカズラ、干し草、鉱物的なニュアンス。熟成により蜜蝋やペトロールなど複雑さが現れている。味わいは爽やか。力強いミネラルが骨格を成し、ジューシーなリンゴ、グレープフルーツ、パインを思わせる。甘さが抑えられておりしっかりとドライ感、滋味に溢れた旨みが特徴。さっぱりとしたフィニッシュで、ほろ苦いアフター。
合う料理 シャルキュトリー、焼売、餃子、魚介の天ぷら、和食など。
2022年11月試飲
カンタ ワイン (エゴン ミュラー)
リースリングワインの造り手として右に出る者なしとして世界的に知られる、ドイツの醸造家エゴン ミュラー。本拠地モーゼルから赤道を超えた南半球、気候も異なる南オーストラリアでのワイン造りは、リースリングの第一人者の研究心と興味をかき立てました。エゴン ミュラーが情熱を注ぎ、心から愛するワイン。それが Kanta です。Kanta カンタとはサンスクリット語で「愛すべきもの、美しいもの」という意味があります。
エゴン ミュラー
ドイツワインの歴史は、はるか2世紀のはじめ、ローマ帝国時代にまで遡ります。古代ローマ人は厳しい寒さと少ない日照時間という過酷な気象条件からこの土地に適した白ぶどうのリースリング種を育てるようになりました。11世紀になりベネディクト派の修道院によってシャルツホーフベルグの畑は開墾されますが、フランス革命の際に革命政府に没収されてしまいます。しかし、その後この土地を1797年にコッホ家がフランス政府より譲り受けることになります。そして当時コッホ家の婿として迎えられたのがエゴン ミュラー1世、ここからエゴン ミュラー ワインの歴史が動き始めました。
ワイン哲学
エゴン ミュラーは技術だけでなく、ワイン造りに対する価値観や、独自の厳しいハードルを設け徹底して納得のいくワインしか造らないというこだわりを、長い歴史の中で継承し続けています。先代のエゴン ミュラー3世は「ワインの品質は100%畑で生み出される。セラーの中でその100%を101%には出来ないが、ぶどうのポテンシャルを最大限に引き出しボトリングすること、それは私たちの達成すべき非常に重要な仕事である。」と語っていました。
現当主エゴン ミュラー4世も「ぶどうの品質こそがワインの品質を決める。だからどんなに手間暇がかかろうとも、樹齢の長いぶどうの樹を大切にするためには伝統的な栽培方法が必要である。」と言います。こうした妥協を許さないその姿勢こそエゴン ミュラーのワインが人々に魅了されている理由の一つでもあるのです。
ワイン造り
エゴン ミュラーのワイン造りには一貫したポイントがあります。
■樹齢の長い古木を尊重すること。古いものでは、第一次大戦以前から栽培されているものもある。
■エゴン ミュラーの要である古木はぶどうの収穫量も少なく、非常にデリケートである。また雑草にも化学薬剤にも弱いので、化学肥料・除草剤・殺虫剤は使わず、年に何度も丹念に畑を耕すなど、出来る限り人の手で大切に育てている。
■収穫は手摘みで行い1haあたり6000リットル以下の収穫量を徹底している。時には3500リットルという少ない収穫の年もある。発酵は1000リットルのフーダー(大樽)、またはステンレスタンクの中で土地に自然に生息する酵母により行われる。量より質を重視し、自然の力を最大限に生かす丁寧なワイン造りが、気品高い果実味豊かな洗練されたワインとなって表現されている。
品質
エゴン ミュラーの「シャルツホーフベルガー」が、厳格な国内法によって原産地表記が義務づけられているドイツにおいて、例外的に葡萄畑名だけで表示することを許可されているドイツ5大ワイン(オルツタイルラーゲ)の一つであること、「比べるものなき傑作」として、ワイン ジャーナリストや世界中のワイン愛好家たちより最高の賞賛を得ていることからも、卓越した品質であることがわかります。
「本当に良いものを最高の状態で飲んで欲しい。だからこそ法的な基準ではなく、自らのワインをテイスティングによって本当の品質で評価し、ランクを付ける。」これが、エゴン ミュラーの頑なまでのワインに対する厳しい姿勢の証であり、彼らの誇りでもあるのです。
これからもエゴン ミュラーは、伝統を守りつつ探究心と情熱を持ってワインと向き合い進化を続けていきます。