ドメーヌ ティエリー モルテ ブルゴーニュ ルージュ キュヴェ レ シャルム ドゥ デ 2020
ディジョン郊外にあるデ村のブドウ畑から。樹齢は15年から50年。細かな粘土の下に石灰岩の母岩があるテロワール。一度タンクで熟成とマロラクティック発酵を行ってから樽熟成に移すという独自の手法により、果実味が柔らかく、香り豊かで持続時間の長いワインとなります。鶏肉や豚肉の料理にぴったりの味わい。
テイスティング コメント
紫がかったルビーレッドの色調。香りはストロベリー、赤スグリ、チェリー、花の蜜を思わせる華やかなアロマが広がり、仄かなハーブの香りや下草、スパイスのニュアンスが混ざり合う。口に含むとなめらかでソフト。柔らかく、バランスのとれたストラクチャーはお手の物で豊かさと純粋さ、しなやかさを兼ね備えており果実味に溢れる。繊細でエレガント、ゆったり続く長めのアフター。
合う料理 ロースト チキン、鶏肉と里芋の煮物、鴨の治部煮、白身魚のポワレなど。
2023年6月試飲
ドメーヌ ティエリー モルテ
ティエリー モルテは故ドニ モルテの弟にあたります。兄弟ふたり、父シャルル モルテの元でワイン造りをしていましたが、92年にシャルルが引退したため、4haの畑を譲り受けて独立しました。今日その面積は7.3haまで拡大しています。ドニ モルテのようにグラン クリュをもたないため、いささか控えめな印象は拭えませんが、ブドウ栽培、ワイン造りはしっかりしており2007年からビオロジック栽培に移行しました。
このドメーヌで面白いのがブルゴーニュACやパストゥグランにアリゴテ。ディジョンのすぐ西にあるデという村に畑があります。かつてはディジョン周辺にも多くのブドウ畑がありましたが、宅地化が進み、そのほとんどがなくなってしまいました。このデには、ドニ モルテも畑をもっています。
村名はマルサネ(白のみ)、ジュヴレ シャンベルタン、シャンボール ミュジニー。ジュヴレ シャンベルタンにクロ プリウール、シャンボール ミュジニーにボー ブランの1級畑も所有します。
赤ワイン造りは100%除梗。4〜5日間の低温マセレーション。コンクリートタンクで発酵を行い、1日2回のピジャージュ。樽熟成はアペラシオンに応じ、新樽率は最大でも50%。16ヶ月の熟成を行います。ジュヴレ シャンベルタンのドメーヌは総じて新樽率が高く、熟成期間も長めですが、きわめて理性的な数値に抑えています。
ティエリー モルテのワインはドニ モルテのそれに似て、果実味のふっくらした味わい。どのアペラシオンでも水準の高いワインを造っていますが、知名度のより高いドニ モルテの陰に隠れて割りを喰っている感が否めません。比較的値付けの高いジュヴレ シャンベルタン在所のドメーヌの中では、コストパフォーマンスにとても優れた造り手といえるでしょう。