バルドリーナ ビバック 2021
“野営”や“キャンプ”を意味するカタルーニャ語「ビバック」。遮るもののない山間部の畑で、満月の夜に月を望むブドウの樹々たちをイメージして名づけられました。ガラフと呼ばれるペネデス特有の石灰岩の山に畑はあり、森林に囲まれた小さな区画はローズマリーやフェンネルなど、自生のハーブや花々で溢れています。まるで、この地の自然をそのまま連れてきたかのような、アロマティックでフローラルな白ワインです。
醗酵: ステンレス タンク
熟成: ステンレス タンク 3カ月(シュール リー)
テイスティング コメント
グリーンがかった淡いレモンイエロー。香りは新鮮でシトラス、洋梨などのフルーツのアロマが広がりローズマリーやレモングラス、ナツメグ、白い花を思わせる。加えてほのかな塩気、石のようなミネラルのノート。味わいは軽快で、生き生きとした果実感。溌剌としているが輪郭は丸みを帯びておりなめらかな質感をもつ。非常にクリアーで、綺麗な果実味が伸びやかに広がり余韻にかけてシトラスフルーツのフレーヴァー。酸の余韻が心地よくすっきりとしたフィニッシュ。
合う料理 生ハム、サラダ、白身魚のマリネ、カルパチョ、ガーリックシュリンプ、フリットなど。
2022年12月試飲
バルドリーナ
700年に亘る歴史を持つ山間のエステイト
ワイナリーは、ペネデスD.O.の上級地区アルト ペネデスのなかでも、特にブドウ栽培家憧れの地と言われるオレサ デ ボネスバル村にあります。基礎となったカン トゥトゥサス エステイトと周囲の森は長らく打ち捨てられていましたが、古くは1349年の記録にも見られる歴史あるエステイトです。松やオークの木々、灌木、エニシダ、フェンネルやローズマリーなど地中海の植物に溢れた環境は、自然を尊重したワイン造りには最適のテロワールです。
現在のワイナリーは1988年、家業を継ぐことを期待されていたジョアン バデル氏により設立されました。1999年には息子のライモン バデル イ ロゼス氏が加わり、有機栽培やビオデナミを本格的に取り入れることで進化を遂げていきます。以降ワイナリーの運営はこの若い醸造家に委ねられました。山間の11ヘクタールというわずかな自社畑で、自然を尊重したワイン造りを実践しています。
畑をこよなく愛する情熱家
フェラン ジル イ ガルシア氏は「畑に住んでいるような」醸造家です。現在のワイナリーを設立した父ジョアン バデル氏の仕事ぶりは「ひたすら畑を愛し、他はただ一生懸命働いて成功を祈るだけ」というものでした。そんな父の背を見て育ち、父親譲りの情熱と畑への愛情を受け継いだライモンは、学校教育を終えるとすぐに夢を叶えるためのステップとして世界の様々なワイン産地へ渡り修業を積みました。こうした経験から、「ワイン造りにおいて主役はブドウ」だということを誰よりもよく知っており、常に畑に深くに関わることを強く意識しています。そして故郷に戻り自分のワイン造りを始めた時、「畑や周囲の土地の特徴(テロワール)を大切にしながら、ブドウを一番大切にしよう」と決心しました。ワインはテロワール固有の特徴だけでなく、造り手が込めた愛情や手間によっても完成すると考えているからです。自分にも他人にも厳しく、繊細な感覚の持ち主です。
隙間をみつけて作る小さな区画
地形上、必然的に広い土地を見つけることは不可能になります。山間になんとか隙間をみつけて畑を作っているような状態で、ブドウ栽培は小さな区画で行なわれています。こうした条件の下では収量は大変低くなってしまいますが、ブドウの凝縮感は比類ないものとなります。
畑はむき出しの自然の中に
この地域は長い歳月をかけて土地の浸食により形成された渓谷が広がっています。自然のままのゴツゴツ岩だらけの地形が特徴的で、土壌は粘土石灰質が一般的です。有機物質が極端に乏しく、石灰質の岩の上にさまざまな粘土性の成分が広がっています。この石灰岩の岩はまた、浸透性が高く水分を保つ力に優れています。