フランソワ カリヨン ブルゴーニュ ピノ ノワール 2019
2017年ヴィンテージからリリースした、ピュリニー モンラッシェの古樹からつくられるブルゴーニュ ルージュ。
テイスティング コメント
光沢のあるルビーレッド。チェリーやスグリ、クランベリーのアロマにシナモン、ペッパーのノート。そしてレザー、土、下草のニュアンス。口に含むとシルキーで軽やかな飲み口。ジューシーなチェリーやラズベリーを思わせ、洗練された雰囲気を醸し出している。繊細で柔らかなタンニン、心地よい緊張感、ミネラルを伴う立体的構造。熟成によって磨かれたエレガントなピノ ノワール。持続性のある余韻も印象的。
合う料理 シャルキュトリ、鶏肉のローストや治部煮、マグロのたたきなど。
2023年3月試飲
フランソワ カリヨン
ルイ カリヨンといえば、ルフレーヴやソゼと並ぶピュリニー モンラッシェ屈指の造り手。ブドウ栽培農家としての歴史は1632年まで遡るという、由緒正しき家柄です。先代ルイの引退に伴い、2010年にドメーヌは兄弟ふたりの間で分割され、次男のフランソワが起こしたドメーヌがフランソワ カリヨンです。ワインを寝かせておくカーヴは曽祖父が使っていたもので、1520年に掘られたカーヴです。
1988年から父を手伝い、醸造を担当する兄ジャックの傍ら、おもにブドウ栽培に専念していたフランソワは、次第にビオロジック栽培へと傾倒。現在、自身のドメーヌのブドウ畑では除草剤を一切使用せず、トラクターや、場所によっては馬を使って土を鋤き返しています。
当然ながらドメーヌのポートフォリオはピュリニー モンラッシェが中心であり、1級にはコンベット、ペリエール、シャン ガン、ルフェール、フォラティエールを所有しています。ルイ カリヨン時代の特級畑ビアンヴニュ バタール モンラッシェは兄のジャックに譲り、新たにわずか1ウーヴレ(4a)ながらシュヴァリエ モンラッシェを取得しました。また、隣接するシャサーニュ モンラッシェやサン トーバンにも畑を所有するほか、コート シャロネーズのメルキュレイもラインナップしています。合計6.5haの所有畑はブルゴーニュでは標準的な規模ですが、3ha近くを村名ピュリニー モンラッシェが占め(スタンダードな村名ピュリニーのほか、樹齢45〜50年の単一区画ものとして”アンセニエール”がある)、その他のクリマはどれも数アールから大きくても0.5ha止まり。クリマごとに入念な醸造が可能となります。
赤ワインも少量造ってはいるものの、ドメーヌの真骨頂はやはり白ワイン。村名以下はステンレスタンクで発酵後、小樽熟成を施し、一級以上は小樽発酵・小樽熟成だ。いずれの場合でも酵母は添加せず、自生酵母による自然発酵を待ち、4週間から6週間をかけてゆっくりと発酵させます。その後のマロラクティック発酵もスターターを加えないため、乳酸菌の働き次第。年によっては気まぐれで起きないこともあるといいます。クリマごとに新樽率は異なり、ピュリニー モンラッシェの1級で25%、村名やサン トーバン1級で10%前後。樽熟成期間は12ヶ月に留め、その後、ステンレスタンクに移して6ヶ月の熟成を続けます。澱との接触は長めにしつつ、樽香は抑えるという、バランスを重視した熟成法になります。
こうして出来上がるフランソワ・カリヨンの白ワインは、白い花や柑橘系の果実を思い起こさせるデリケートな風味。口に含むと生き生きとした酸とピュアなミネラル感が広がり、ピュリニーの造り手らしく、曲がったところのないとてもストレートな印象を受けます。
ドメーヌ フランソワ カリヨンは、遺産相続の関係でドメーヌ名を息子ポールに変更し、所有畑もワイン造りも変わらず、ドメーヌ ポール カリヨンとして、2014ヴィンテージからスタートさせています。