ヴェスリ グリューナー フェルトリーナー ランゲンロイス 2021
閉じたノーズに多くの空気を触れさせると、熟れた赤リンゴのアロマを感じます。フレッシュなリンゴやレモンの味わい。白コショウ、セージ、シダの香りがエッジを効かせていて、可愛らしい柑橘系の皮を感じさせる心地よい刺激のニュアンスのフィニッシュ。
醸造・熟成: ステンレスタンクで発酵、澱と共に5ヶ月熟成
テイスティング コメント
グリーンがかったストローイエロー。洋梨やリンゴ、レモンの香りと白い花のフローラル ノート。そしてホワイトペッパーやシダ、スパイスのニュアンスがアクセント。口に含むとフレッシュでジューシー。ピチピチと弾ける快活な飲み口で、しなやかで柔らかな酸味が味わいを支える。エッジが効いているが果実味のボリューム感もあり純粋で緻密な構造をもつ。ドライで引き締まったフィニッシュ。
合う料理 サラダ類、前菜、シーフード、寿司、和食、パスタなど。
2023年6月試飲
ヴェスリ
ヴェスリはオーストリアの重要なワイン産地、ランゲンロイス村にワイナリーを構えています。建物の起源は1679年まで遡ることができ、代々ソンマリャー家によって引き継がれてきました。当時は農業を営んでいましたが1900年代後半にブドウ栽培のみに焦点を絞り、ワイナリーに改築した歴史があります。現オーナーであるデイヴィス ヴェスリはこの地に魅せられた一人で、足しげくカンプタルに通う内にソンマリャー家と知り合い、意気投合。2011年にワイナリーを購入するとともに「ヴェスリ」に改名し、新体制のもとでスタートしました。ワイン造りの根底にあるのは、従来よりソンマリャー家が行ってきた自然なブドウ栽培にサスティナビリティの概念を取り入れた「テラファクトゥム」という独自のコンセプト。ワインの個性が形成されるのは畑であるため、そこに息づく多様な生物を育み尊重することが品質に直結すると考えています。例えば、希少な渡り鳥の一種であるヤツガシラのために巣箱を設置していますが、暖かい気候を好む彼らの習性のため所有畑の中でも急斜面で南向きの石垣で囲われた温暖なシェンケンビヒルを選んでいます。除草剤や化学肥料は1990年から使っておらず、2015年よりオーガニック栽培に転向しました。
「間違いなくニーダーエステライヒ州の中で最も上質で興味深いワインの一つ」WA
現在畑は村の周辺約30haに広がり、グリューナー フェルトリーナーとリースリングを栽培しています。土壌は大部分がロス(黄土)ですが、一部角閃岩や石灰岩も見られます。ブドウは全て手摘みで収穫され、空気圧式で全房を丁寧にプレス。その後、温度管理機能付きのステンレスタンクで天然酵母により自然発酵が始まります。熟成は区画ごとに行われステンレスタンクと一部の上級キュヴェには古い大樽も用います。繊細優美なヴァッハウにはない、果実の暖かさや濃厚さといったカンプタルの魅力を持ちながら、あくまでもエレガントでピュアな酸とミネラルが光るヴェスリのワイン。WA初掲載時に「間違いなくニーダーエステライヒ州の中で最も上質で興味深いワインの一つであり、熟成のポテンシャルは偉大である」と大絶賛を受けました。近年ようやくカンプタルの名は耳にするようになってきものの、まだまだ世界の注目がヴァッハウに集中している中、驚くほどの品質をリーズナブルに楽しめるヴェスリのワインは、まさに今買うべきオーストリアワインです。