ドメーヌ ジャン グレイ エ フィス シャブリ 2021
10区画のブレンド。収量は55hl/ha。自然酵母使用。空気圧プレス。常温で12時間のデブルバージュ。かっちりとした酸を持つシャブリ。程良い厚みと共に旨味が広がる。
土壌: キメリジャン土壌 熟成: ステンレスタンクで20~21度にて6ヶ月熟成後瓶詰め。
テイスティング コメント
輝きのある淡いゴールドの色調。爽やかな柑橘類、青リンゴ、梨、菩提樹のアロマ。そしてミントの香り、干し草、火打石、スパイスのニュアンスが混ざり合う。口に含むとフレッシュでピュア。生き生きとしたミネラル感が際立っており、伸びやかな酸味が味わいを支える。シャープな印象も輪郭がやや丸みを帯びており洗練された飲み口。なめらかなテクスチャー、ミネラリーで風味には柑橘類にアーモンドのような香ばしさ。余韻に心地よい塩味を感じ食欲をそそる。
合う料理 寿司、天ぷら、牡蠣、白身魚のカルパッチョ、野菜・魚介のグリルなど。
2024年8月試飲
ドメーヌ グレイ(フィリップ グレイ / ジャン グレイ エ フィス)
ドメーヌ ジャン グレイは、厳しい気候のために有機栽培は無理だと言われていたシャブリ地区において、有機栽培生産に成功した若き先駆者のひとりです。日本よりもオーガニックかどうかに敏感で、世界でも最先端のフランスのワイン市場において、著名なビオ系ショップで有機栽培シャブリとしていち早く採用されました。
ワインの生産において、動物性の製品や副産物を使用することはなく、ヴィーガンワインとしての造りも意識し、品質を損なうことなく、亜硫酸塩を可能な限り低い用量で使用するよう自然なワイン造りに努めています。彼らのワインは正式に認証も受けておりますが、ワイン造りにおいては基本的な事と考え、最近までラベルにあえて表記はしていませんでした。現在フィリップ グレイが所有するこのドメーヌは、父のジャンより畑を相続し、1986年より有機栽培を行ってきました。ただ、リスク管理の観点から、万一何かあった時に対応できる様に、あえて認可申請は行っていませんでした。その後10年を超えるビオ栽培の経験によって踏ん切りがつき、2005年よりカリテ フランスの基準に則った有機栽培へと移行しています。2009年ヴィンテージより認可ビオになっています。
フィリップは元々父方がGoulley家で母方がTremblay家。すぐに親元を継いだ訳ではなく、自動車関係の仕事をやっていて、特にビオ信者ではなく、当時はシャブリには居ませんでしたが1980年代に継いだ時に土が死んでいると思ったから自然にやりたいと思っただけで、1991年から30年以上ビオをやっているそうです。ベジタリアンでも飲めるよう、動物的なものは使用しない、畑でもカーヴでもナチュラルな方向を心掛けているそうです。
病害、遅霜、雹の影響を受けた2016年のような歴史に残る不作の年は、天候の厳しいシャブリは多大な影響を受けました。そんな中ジャン グレイではブドウ畑と真摯に向き合う事で乗り越えることができた事は貴重な経験となっています。この経験は現在のワイン造りに活かされ、近年の2020年や2021年についても苦しい収穫量の中、安定した高い品質を維持できています。
近年のシャブリのトレンドはステンレスタンクで熟成し、激しくシャープな味わいのワインが多い印象です。彼も近年はステンレスタンクでの熟成を中心としており、トレンドを抑えたミネラリーな造りです。しかし彼の性格を表すように、穏やかな果実味と柔らかさがあり、ピュアで親しみやすい味わいに仕上がっています。