ドメーヌ ジャン グレイ エ フィス シャブリ プルミエ クリュ モン ド ミリュー 2022
シャブリ1級畑の中でも人気の「モン ド ミリュー」。ドメーヌの真正面の上部に0.75ha所有。セラン川右岸に位置し他のプルミエ クリュにくらべて酸がキレイに表現出来る。アーモンド、キノコの複雑な香り、森の下草、白い花などのミネラルがはっきりと感じられる。繊細で丸みが有り優しい味わい。
土壌: キメリジャン土壌
熟成: シュール リしながら、18ヶ月ステンレスタンクで熟成後瓶詰め。
テイスティング コメント
輝きのある淡いゴールドの色調。香りは熟した柑橘類に青リンゴ、梨、白い花のアロマにミネラルのノート。加えて火打石やアーモンド、キノコの複雑な香り。ホワイトペッパーのようなスパイスのニュアンスも感じる。味わいはなめらかでリッチ。硬質なミネラルを軸にしっかりとした構造の下、風味豊かな果実味が柔らかに広がっていく。純粋で、生き生きとした酸味が調和。シャブリのエレガントさと複雑さを見事に体現しており余韻は優雅、際立つ透明感。
合う料理 白身魚のカルパッチョ、牡蠣、鶏肉とキノコのクリーム煮、魚介のグリル、仔牛のカツレツなど。
2024年8月試飲
ドメーヌ グレイ(フィリップ グレイ / ジャン グレイ エ フィス)
ドメーヌ ジャン グレイは、厳しい気候のために有機栽培は無理だと言われていたシャブリ地区において、有機栽培生産に成功した若き先駆者のひとりです。日本よりもオーガニックかどうかに敏感で、世界でも最先端のフランスのワイン市場において、著名なビオ系ショップで有機栽培シャブリとしていち早く採用されました。
ワインの生産において、動物性の製品や副産物を使用することはなく、ヴィーガンワインとしての造りも意識し、品質を損なうことなく、亜硫酸塩を可能な限り低い用量で使用するよう自然なワイン造りに努めています。彼らのワインは正式に認証も受けておりますが、ワイン造りにおいては基本的な事と考え、最近までラベルにあえて表記はしていませんでした。現在フィリップ グレイが所有するこのドメーヌは、父のジャンより畑を相続し、1986年より有機栽培を行ってきました。ただ、リスク管理の観点から、万一何かあった時に対応できる様に、あえて認可申請は行っていませんでした。その後10年を超えるビオ栽培の経験によって踏ん切りがつき、2005年よりカリテ フランスの基準に則った有機栽培へと移行しています。2009年ヴィンテージより認可ビオになっています。
フィリップは元々父方がGoulley家で母方がTremblay家。すぐに親元を継いだ訳ではなく、自動車関係の仕事をやっていて、特にビオ信者ではなく、当時はシャブリには居ませんでしたが1980年代に継いだ時に土が死んでいると思ったから自然にやりたいと思っただけで、1991年から30年以上ビオをやっているそうです。ベジタリアンでも飲めるよう、動物的なものは使用しない、畑でもカーヴでもナチュラルな方向を心掛けているそうです。
病害、遅霜、雹の影響を受けた2016年のような歴史に残る不作の年は、天候の厳しいシャブリは多大な影響を受けました。そんな中ジャン グレイではブドウ畑と真摯に向き合う事で乗り越えることができた事は貴重な経験となっています。この経験は現在のワイン造りに活かされ、近年の2020年や2021年についても苦しい収穫量の中、安定した高い品質を維持できています。
近年のシャブリのトレンドはステンレスタンクで熟成し、激しくシャープな味わいのワインが多い印象です。彼も近年はステンレスタンクでの熟成を中心としており、トレンドを抑えたミネラリーな造りです。しかし彼の性格を表すように、穏やかな果実味と柔らかさがあり、ピュアで親しみやすい味わいに仕上がっています。