マルケージ ディ グレージィ ヴィルトゥス ランゲ ロッソ 2011
Virtusは勇気の意味。ランゲ地方で初めて造られた異色のブレンド、バルベーラとカベルネ ソーヴィニョンのブレンドです。マルティネンガのすぐ下の谷にある南南西向きの2つの区画のブドウを使用。バルベーラは標高225m、カベルネは標高240m。品種ごとに醸造され、瓶詰め前にブレンド。20日間のマセラシオンとアルコール発酵の後にマロラクティック発酵。フランス産バリックにて28ヶ月間熟成。リリース前にボトル熟成。
力強い味わいと上質な酸味とのバランスが絶妙。カベルネの骨格とバルベーラの酸味により、赤身の肉だけでなく濃厚なパスタ料理にも良く合います。
テイスティング コメント
濃いルビー / ガーネットの色調。香りは熟したブラックチェリーやカシスなどの果実香、レーズン、甘草、バラ、ブラックペッパーなどのスパイスのノート。そしてエスプレッソやチョコレート、トーストのニュアンスが混ざり合う。口に含むと円やかで、しっかりとした構造。13年の歳月を経てもなお瑞々しさを損なっておらず心地よい酸味、タンニンはしなやかで層状の質感をもつ。豊かな果実味が広がり、挽きたてのコーヒーのような香ばしさがアクセント。旨みがあり杯を重ねるたびに厚みを増していく。
合う料理 肉煮込み・ロースト、牛肉のたたきなど。
2024年9月試飲
マルケージ ディ グレージィ
バルバレスコの正統「マルケージ ディ グレージィの世界」
マルケージ ディ グレージィは、12世紀から続くトリノの名門貴族にあたり、スイスの不戦条約にサインしたベネディット ディ グレージィを先祖に持つ家柄です。テロワールの個性を最大限に引き出すそのワイン造りは、バルバレスコではトップクラスの名醸造家と言われ、近年様々なワイン専門誌で高く評価されています。
ピエモンテの中心地ランゲとモンフェラートの間に有るブドウ畑は、バルバレスコ村マルティネンガ、トレイゾ村モンテ アルバリト、アレッサンドリア県ラ セッラ、カッシーネ村モンテ コロンボ等の4ヶ所にまたがります。この地は1650年からグレージィ家の所有地です。しかしながらそのブドウ自体は1970年初頭まではチェレットやプロドットーリ ディ バルバレスコなど名門ワイナリーに売られていました。
1973年、当時ミラノのボッコーニ大学で勉強していたアルベルト ディ グレージィはテロワールの可能性に気付き、彼自身のワイン造りに目覚め、その情熱(ワイン造り)を彼の職業へと昇華させました。とは言え何事も通り一遍では気が済まないアルベルトのこと。伝統は重んじるものの何か普通でないことを模索して、イタリアワインの帝王とも称され旧知の仲でもあるアンジェロ ガイヤ氏や、安価なローカルブドウであるバルベーラ種を高級品種に仕立てて成功した故ジャコモ ブライダ氏に相談し、その結果通常はアルネイス種が植えられるランゲの畑にはシャルドネとソーヴィニヨン ブランを植樹、さらに高級品種ネッビオーロを植えても十分な品質が期待できる畑にバルベーラを植えました。またこの地には珍しいメルロまで植えられ、異端児ぶりは見事に発揮されました。
そんな異端児も単一畑マルティネンガだけは遊ぶことなく1979年から続く伝統を貫き、畑から出来るブドウそのままにクリーンでエレガントなワインに仕上げ、それ故この畑のバルバレスコは「バルバレスコの評価基準」とさえ言われています。
グレージィ家の単独所有畑「マルティネンガ」
マルティネンガは古代ローマ人には既に“ヴィッラ マルティネス”として知られていました。昔からマルティネンガには女神の信仰が有り、彼らはこの地を神聖な場所としていました。マルティネンガはバルバレスコD.O.C.G.の中心部に位置しており、そのワイン(バルバレスコ)に備わる深い構造と優雅さはまさに伝説的です。
そしてこのマルケージ ディ グレージィの生産拠点であり、この生産者の畑で収穫されたすべてのブドウがここマルティネンガに集められ、発酵、熟成、瓶詰されています。「ネッビオーロ種は土壌の読み方のマスターであり、テロワールの微妙な違いを小さなニュアンスでボトルに表現し、我々に異なる感覚を与えてくれる。ひとつひとつに異なるブドウ畑の特徴をそれぞれに守り伝えることが出来るのです。」とアルベルト ディ グレージィは言います。マルティネンガ バルバレスコはそのイメージだけではなく、生産の意味合いにおいても間違いなくこの生産者の最も重要な位置づけにあります。