シャトー・ラ・コンフェッション 2011
醗酵:オーク樽(蓋を開けてマロラクティック醗酵、アリエ産、50%はシガー樽)
熟成:オーク樽熟成 18ヶ月(225l、新樽比率100%)
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート・パーカーJr.著より抜粋
■一般的な評価 ラ・クロワ・サン=ジョルジュ(ポムロール)と輝かしいド・シャンブラン(ラランド=ド=ポムロール)のジャン・フィリップ・ジャヌエックスによる、この新たなガレージ・シャトーは、流行のワイン醸造技術(タランソー製の開放式の小型の樽での発酵、果帽の攪拌、樽内でのマロラクティック発酵、澱との接触下での熟成、清澄と濾過をしない)の恩恵を受けている。2001年のデビュー・ヴィンテージは印象的であり、ジャン=フィリップ・ジャヌエックスが手がけたすべてのワインが一流の出来栄えであることから判断すると、ラ・コンフェッションが高度の基準を保ち、可能ならさらによくなると考えてもよいだろう。
【テイスティング・コメント】
深いガーネット。粘性は高め。香りにはブラックベリーやブルーベリー、カシスなどの熟した黒果実を基調に、リコリス、クローブやブラックペッパーなどのスパイスのノート。加えて樽由来のバニラ、チョコ、エスプレッソなどの芳しい香り、黒トリュフ、皮革、土、ミネラルのニュアンスが複雑性を与える。開放的で凝縮感がただよう。アタックはソフトでなめらか。果実味は豊かでジューシー、完熟果実のたっぷりとした旨みに満ちており、肉付きのよい豊満なボディとグリセリン分を多量に含む。タンニンは丸みを帯び柔らかで、しっとりとした舌触りと味わいは層を成す緻密な構造。充実した果実感と仄かに甘いリコリス、ビターなオークの風味が渾然一体となりリッチで長く続く余韻をもつ。飲み応えのあるフルボディ、アフターには果実とオークのフレーヴァーが持続する。合わせるお料理は赤身肉を中心としたお料理、またはワインメインでおつまみと共に。
※2016年3月試飲
■ジャヌイクス家
数多くのシャトーの名声を高めたジャヌイクス家
ジャヌイクス家のワイン造りは、1898年まで遡ることができ、現在、ポムロール、サン・テミリオンを中心に、ボルドー・スペリュール、コート・ド・カスティヨンなど多彩なアペラシオンを所有しています。ボルドーでは比較的小規模な生産者ではありますが、家族全員でワイン造りに関わり、深い愛情の下、高品質なワインを世に生み出しています。
ジャヌイクス家と言えばメルロの真髄と名高いポムロールの“クロ・デ・リタニ”、銘醸「ル・パン」や「ヴュー・シャトー・セルタン」に隣接する“ラ・クロワ・サン・ジョルジュ”、ファミリーの象徴“ラ・クロワ・トリフォー”。数多くのシャトーの名声を高め、揺るぎない地位を築き上げたのがジョセフ・ジャヌエックス氏です。
“ボルドー新世代”のひとり、ジャン・フィリップ・ジャヌイクス氏
今、ボルドーでは世代交代の時期を迎えています。若い新しい世代の生産者は、伝統を引き継ぎながらもその名声におごることなく、化学的にもブドウ栽培・ワイン醸造を学び、『新しいボルドー』を造り始めています。息子のジャン・フィリップ・ジャヌイクス氏も、そんな“ボルドー新世代”のひとりです。父ジョセフから、ワイン造りを引き継いだジャン・フィリップ氏は、伝統の職人技に、最先端の醸造法(開放式の木樽での醗酵、マストのパンチングダウン、澱との長期間の接触、無清澄・無濾過の瓶詰め)を取り入れました。
彼のワイン造りに対する真摯な姿勢は、“ニュー・ジェネレーション”の中でもひときわ輝きを放ち、早くも評価はうなぎのぼりです。引き継いだシャトーの品質は年々高まる一方で、並外れて困難なヴィンテージにおいても注目に値すると専門家や愛好家の間でも賞賛されています。数ある生産者の中から堂々、『ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー』にも選ばれた、今ボルドーで最も才能のある注目すべき醸造家のひとりなのです。