レ・オー・ド・ポンテ・カネ 2004
【テイスティング・コメント】
オレンジがかったエッジの濃いガーネット。粘性は高め。香りにはカシスやプラムジャム、杉、ナツメグやクローブなどのスパイス、黒トリュフ、芳しいオークが混じり合う。バニラ香はやさしく、チョコや香木などの香り。続いて熟成による腐葉土、なめし革、栗の渋皮、茶葉、ジャーキー、品の良いブーケが広がり複雑性に富む。アタックはソフトでなめらか。キメ細かなタンニンと穏やかな酸味が溶け込むシルキーな舌触り。しっかりとした骨格はもちろんだが全体的な丸み、程よい肉付きを備えている。柔らかなテクスチャー、その中にも感じとれる肩幅の広さは、さすがはポンテ・カネ。目が詰まっていて、純粋な旨みが口中を駆け巡る。クラシカルなスタイルで、アフターの余韻も持続性がある。合わせるお料理は、牛やラム肉のロースト、ミートローフ、牛肉のカルパッチョ、ジビエ、キノコ料理、熟成チーズなどがおすすめ。
※2016年7月試飲
■シャトー・ポンテ・カネ
メドック格付第5級 シャトー・ポンテ・カネ
シャトー・ポンテ・カネは、メッドクでも有数の成長株として評価の高い格付シャトーです。畑はポイヤック村の中央からやや北部に位置する砂利質の土壌、あの一級格付け、シャトー・ムートン・ロートシルトの畑と隣接する好立地にあります。1855年格付け時こそ低迷期にありましたが、オーナーがテスロン家になり大改革が執り行われた結果、1990年代半ばから品質が劇的に向上しました。今やポイヤックの典型とも呼ばれまでに成長し、ヴィンテージによっては一級シャトーをも脅かす存在として注目されています。
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート・パーカーJr.著より抜粋
メドックの格付けシャトーとしては最大の生産量と、ムートン・ロートシルトのすぐ向かいという人もうらやむ畑の立地を思えば、とりわけ高い品質と器量のワインを期待したくなるものだが、1962~1985年の記録をつぶさに観察してみると、健全で理にかなったワインではあっても、興奮と称される、あの特別な成分に欠けていたことがわかる。だが、1994年以降、オーナーを見ればわかるように、勢いを取り戻し、こだわりが表れ始めた。醸造用のセラーが完全に一新され、あまり出来のよくない槽が出た時のためにセカンド・ラベルが導入され、新樽の比率も高められた。また、機械による収穫は取りやめられた。
1975年までのオーナーはよく知られたクリューズ社だったが、同社はポンテ=カネを販売促進になる1つのブランド名として扱うばかりで、他とは異なる独特な個性を持つポイヤック産シャトー元詰めワインとは見えない傾向があった。シャトー元詰めするようになったのは1972年のことだが、それまで長年ヴィンテージも表示しないまま、いつでもポンテ=カネの名でフランス国鉄にまとめ売りしていたのである。だが、1975年には同社がブレンドやラベリングの慣行を無視していることが裁判で明るみに出て、同社はシャトーを売却せざるを得なくなる。それを、著名なコニャックの商人ギー・テスロンが買い取り、息子のアルフレッドに管理を任せるようになって今に至るわけだ。ボルドー中の人が賛成すると思うが、注意深く管理・運用すれば、ポンテ=カネの畑は莫大な可能性を秘めているし、アルフレッド・テスロンもその難題に応えて、畑とセラーに多額の投資をし、非常に厳しい選別プロセスを実施した結果、1994年以降のポンテ=カネは、メッドクでも有数の成長株となっている。
■一般的な評価 健全につくられてはいるが、1980年代の半ばまでは魅力に欠け、興味も持たれていなかった。ただし、1990年代半ばからは顕著に向上している。価格の方も最近のヴィンテージの品質を追って上昇傾向にあるが、それでも依然としてコストパフォーマンスがよいワインである。