ドメーヌ・ピエール・ルイ&ジャン・フランソワ・ベルサン ブルゴーニュ・アリゴテ 2015
Q.黄金のアリゴテをご存知ですか?
アリゴテは、ブルゴーニュ地方のソーヌ・エ・ロワール県、コート・ドール県、ヨンヌ県に渡って広く栽培されている白ワイン用の葡萄品種で、1937年からアペラシオン・ブルゴーニュとして認定されました。通常ブルゴーニュで広く栽培されているのは「アリゴテ・ヴェール」という品種です。ヴェールとは緑色という意味で、その名の通り緑色をしており、酸味が強く痩せた味わいになりがちです。
ベルサンのアリゴテは黄金のアリゴテ、「アリゴテ・ドレ」という品種です。ドレとは「金色の」という意味で、果皮が薄く、熟すと黄金色になる葡萄です。アリゴテ・ヴェールとは全くの別物になり、糖度が高く酸味が突出することがありません。またヴェールに比べて香りが華やかなのも特徴の一つです。
熟成:ステンレス・タンク
【テイスティング・コメント】
グリーンがかった淡いイエロー。粘性は中程度からやや低め。香りにはレモンやグレープフルーツなどの柑橘類、ドライアプリコット、白い花、カモミール、カルダモン、鉱物的なミネラルのニュアンスが複雑に混じり合う。香り高く豊かな果実香、フリンティな香りをアクセントにフレッシュさが一層引き立たされる。アタックは爽やかでなめらか。密度の高いミネラルを軸にしっかりとした構造を持つ。柑橘類や熟れた黄系果実の仄かな甘味を感じつつドライフルーツ的要素、ジューシーな旨みとともにドライ感が混在する。キレの良い辛口で溌剌とした酸が味わいを支える。アフターにはグレープフルーツの皮やミネラルのような心地よいほろ苦さ。合わせるお料理はサラダ、魚の塩焼き、レモンを添えた焼牡蠣、白身魚のカルパッチョ、ヴォンゴレ、貝類のアヒージョなどがおすすめ。
※2016年7月試飲(2014年ヴィンテージ)
■ドメーヌ・ピエール・ルイ&ジャン・フランソワ・ベルサン
1986年生まれのピエール・ルイ・ベルサン氏。12歳の頃から漠然とではありますが、ヴィニュロンとしての将来を考えていたそうです。2002年にブルゴーニュのボーヌにある農業学校で学び、2008年には世界のワイン造りを学びたいという思いからニュージーランドのセントラルオタゴのワイナリーでも研修を受けました。
その後、フランスに戻った彼は、父ジャン・フランソワとともにそれまでのドメーヌ・ベルサンから二人の名前を冠して、2010年、ドメーヌ・ピエール・ルイ&ジャン・フランソワ・ベルサンと名前も一新し親子二代で出発しました。彼らが本拠地を構えるのはシャブリを生産するヨンヌ県のサン・ブリ。ブルゴーニュ唯一のソーヴィニヨン・ブランを産出するAOCで、土壌構成はロワールやシャンパーニュ南部に似ています。
新しいドメーヌ名になって僅か数年ですが、代々家族経営でワイン造りを行ってきました。歴史は大変古く1453年、15世紀まで遡ることができます。ジャン・フランソワとピエール・ルイは、テロワールを尊重する伝統的な手法を貫いています。近代技術の進化によって、彼らは所有する20ヘクタールの畑のポテンシャルをより引き出し、新たな段階へと進み始めました。今では醸造から瓶詰めまでのすべてを衛生的で精密な作業のできるステンレスを用いた近代的な蔵で行っています。
そうして瓶詰めされたワインは11~12世紀頃に造られたという丸天井の地下カーヴでゆっくりと熟成をさせます。イギリスとの100年戦争時に塹壕として造られた、まるで迷路のように入り組んだ地下カーヴは、この地方の観光名所にもなっているほどです。ジャン・フランソワとピエール・ルイは、このサン・ブリの地で13haの白ブドウ畑と7haの黒ブドウ畑を所有しています。年間生産量はおよそ15万本。そのうち半分はイギリスやベルギー、アメリカなどに輸出されています。