ロス・ピノス カル・ピン 2013
葡萄の樹齢は平均で25年、収穫量は30hl/haと低く抑えています。発酵はコンクリートタンクで24度に温度コントロールしながら、約7日間行います。熟成はフレンチオーク樽(2、3年樽)で4ヶ月寝かせます。
【テイスティング・コメント】
濃いルビー。粘性は中程度より高め。香りには小粒の赤い実、カシス、赤紫蘇、バラのドライフラワー、ピンクペッパー、リコリス、ローストしたオークが混じり合う。野性味に溢れ、かつフルーティーな果実香、落ち葉や湿った土のニュアンスがみられやや複雑。アタックはソフトでなめらか。果実味はエキス分に富みジューシーで、酸度はやや高めにも嫌みが無く伸びやかに広がる。酵母由来の爽やかさやミネラルが感じられピュアな味わいはまさに自然そのもの。溶け込んだタンニンはしなやかでバランスのよい仕上がり。ミディアムからフルボディ。程よい酸度とスパイシーさが食欲を掻き立て、気が付けばスイスイと杯が進む。合わせるお料理は肉料理全般、ウスターソース系の肉野菜炒め、お好み焼き、トマトソースを使ったパスタやピッツァなどがおすすめ。
※2016年9月試飲
■ロス・ピノス
ロス・ピノスは、バレンシアのトスカーナと呼ばれるアルバイダ渓谷の美しい村、フォンタナルス・デルス・アルフォリンスにあります。基本的には地中海気候ですが、アリカンテやラ・マンチャに近く、大陸性気候の影響も受けています。平均気温は夏が24度、冬は7度、降雨量は非常に少なく、冬と春に集中して降ります。この恵まれた地理的条件と優れた気候のおかげで、品質の高いワインが生まれます。土壌は、砂質ローム、粒の粗い砂が多く見られます。葡萄の収穫は、小箱を使って手摘みで行ないます。発酵は、自然酵母を使ってコンクリートタンクで行ないます。
葡萄栽培はオーガニックで、化学的な物質に頼らず、遺伝子組み換えの葡萄は使いません。自然にあるものを最大限に利用しています。この方法によって最大限の品質を得る一方で、環境を尊重し、土を守り、自然とのバランスをとりながら栽培を行なっています。オーガニック栽培は、通常より手間がかかりますが、これが過去20年以上も続けている理由です。ナチュラルな葡萄を表現したい、植物も土壌もすべて生きているのだから、それら生きているもの全てをワインに表現していきたいと思っています。
カル・ピンについて
Ca‘ls Pinsとは、「松の木の家」の意味です。『ある日、醸造所の屋根裏に登ったら、そこで奥に隠れていた古いワインを見つけました。ロス・ピノスは設立から100年以上の歴史がありますが、その時見つけたワインは祖父が35年前にロス・ピノスで初めて瓶詰めした時のものでした。そのワインを見つけた瞬間、私は幼少期にこのラベルを見た記憶が蘇ってきました。ラベルには今も変わらず窓から見える、家の前の松の木に暮れていく夕日の風景が描かれていました。カル・ピンのラベルはその眺めを忠実に再現したものでした。
この発見によって、当時の様々な記憶が呼び起こされました。その頃、この地域は貧しかったこと、そのため、食事の一部として生活と深く結びついたワインが造られていたことなど、そしてそんな人々の日常に私たちのワインが存在していた事を思い出したのです。私は偉大ワインではなく、私たちのルーツに戻り、また人々の生活の一部になるようなワインを造りたいと強く思うようになりました。そして、当時のラベルを用いて、童心に返るという意味を込めて生みだされたのがこのカル・ピンなのです。』オーナー:ホセ・アントニオ・フェリ氏談。