フォルナチェッレ ジッゾロ ボルゲリ・ロッソ 2013
醸造:品種毎にステンレスタンクにてマセラシオンとアルコール醗酵を12日間行います。使用バリック6ヵ月、瓶熟6ヶ月熟成。
【テイスティング・コメント】
紫がかった濃いルビー。粘性はやや高め。香りには野生のベリーやブラックチェリー、キルシュ、赤い花、ハーブ、ペッパーや八角などのスパイスのノート。加えて樽由来のバニラやトースト、チョコなどの香り、ヨード、湿った土、洗練されたミネラルのニュアンスが複雑性を与える。アタックはソフトでなめらか。エキス分に富むジューシーな果実味とフレッシュながら上品な酸とのバランス。赤い果実を濃縮したような甘酸っぱさが心地よく、ハーブやスパイシーなオークの要素が綺麗に溶け込んでいる。樽感はもちろんあるが強すぎず、新鮮な果実や花の含み香の広がりがある。味わいは丸くしなやかで、まとまりの良さが光る1本。真にピュアな果実感、アフターにはタンニンとともに果実と花のフレーヴァーが持続する。合わせるお料理は、赤身肉を中心とした料理、鶏胸肉のソテー、パスタ、チーズであればハード系や白カビ系がおすすめ。
※2016年6月試飲
■フォルナチェッレ
19世紀の終わりより、ボルゲリで家族経営を行なう小規模生産者「フォルナチェッレ」。現オーナーのステファノにより1996年から徐々に畑の改植を行い、2001年に初の瓶詰ワインをリリースしました。サッシカイア等のスーパートスカーナ誕生後、新たな銘譲地を求める生産者が一気に押し寄せた事によりボルゲリの土地の価格は高騰しており、新しい畑を取得するのが難しい状態です。その為、新たにボルゲリの畑を買い求めた生産者はワインの金額に土地の購入代金を反映させなければなりません。
しかし、フォルナチェッレは、この地域において少数派の地元民であり、他の生産者より羨望の眼差しを受ける素晴らしい畑を所有している為、土地の購入代金をワインに反映させずに質の高いワインを供給する事が可能な生産者です。
その恵まれた土壌を活かす為に、認定は特に受けておりませんが有機栽培を実践しています。作付けした最初の2~3年だけビオディナミ生産者が使う肥料を使用しましたが、その後は畑の下に流れる地下水脈を求め根が深く伸びるのを促す様に、肥料は一切使用していません。
また、高品質なワインを産み出す生産者ならば必ず行っているグリーン・ハーベストも大事な作業です。葉と房のバランスを考えながら、成熟が遅れ不均一に実っている房から丁寧に間引いていきます。ステファノはグリーン・ハーベストを強く重要視しており、ただ収量を低くする為に間引いている訳ではなく収穫時の粒の揃い具合等に影響する為、計算をしながら丁寧に作業を行います。『昔からボルゲリにいたから安く売れる』というだけではなく、熱心な畑仕事と探究心がフォルナチェッレの品質を支えています。
スローフード協会発行Slow Wineより
生産者情報・・・フォルナチェッレはボルゲリ地区の中心にある小さなワイナリーだ。1900年初頭からビッリ家が所有し、現在はステファノが経営している。コンサルタントはステファノ・モルタルダ。妻のシルヴィアがマーケティングの担当をしている。15haの畑を所有し、オリーブオイルや野菜も作っている。
畑情報・・・葡萄畑は平野部にある8haで、砂礫や小石の混じった、中程度の柔らかさの土壌。1998年に黒葡萄が植えられ、コルドン・スペロナートで栽培されている。ロッタ・インテグラータという有機農法を採用し、肥料は自然の堆肥のみ。
ワイン情報・・・ステファノのワインはモダンだが大袈裟ではなく、分かりやすい個性を備えている。上級のキュヴェは蓋を外したバリック内で発酵、手作業で定期的にピジャージュを行っている。ジッゾロはフローラルで活き活きとしている。グアルダ・ボスキはハーブの香りが特徴的。