ドメーヌ・パラン ポマール プルミエ・クリュ レ・シャポニエール 2010
偉大なフィネスを持った崇高なワインです。ポマールの1級畑、ヴォルネイ側のレ・リュジアン=バと地続きの東側の区画です。
【樹齢】35~45年
【土壌】粘土・石灰岩
【醸造】100%除梗、5日間の低温浸漬。1日2回のピジャージュを行い18~20日間発酵。
【熟成】オーク樽16~18ヶ月(新樽30~40%)
【テイスティング・コメント】
赤紫がかったルビー。粘性は中程度より高め。香りにはバラやアカシア、お香のような上品な芳香とともにシロップ漬けのラズベリー、ストロベリーやマラスキーノチェリーなどの赤い果実を印象づける。続いて八角やシナモンなどのスパイス、紅茶、リコリスの香り、品よく香るバニラのノートが複雑に混じり合う。アタックはソフトでなめらか。エキス分に富む豊かな果実味が染み渡るように広がり、丸みを帯びたタンニン、溶け込んだ酸味が絶妙のハーモニーを奏でる。アペラシオン特有の力強くしっかりとした構造が明確に表れており、何よりも果実味と酸味、渋みとが完璧なまでの調和を見せる。しっとりとしたシルキーなテクスチャー、フィネスが感じられる優雅なアフター。ポマール南部の一級畑最高峰と言われ、特級に格上げされるべきと称される「レ・リュジアン・バ」とは地続きにあり、ポテンシャルの高さにおいて一級畑の中でも群を抜いている。当主アンヌが求める「力強さとエレガンスの最高のバランス」が見事に体現された一級品。至福のひと時にゆっくりと向き合ってお楽しみを。
※2016年10月試飲
■ドメーヌ・パラン
パラン家は1600年代初頭まで遡ることが出来る由緒ある家柄。語り継がれるエピソードとして最も有名なのは、独立宣言の起草者で第3代アメリカ大統領として知られるトーマス・ジェファーソンが、まだフランス大使だったときにブルゴーニュ地方に立ち寄り、同家のワインを気に入り、かなりの量をアメリカに運ばせた、というもの。
1803年、ヴォルネイからポマールに移り、ドメーヌ・パランを設立しました。1947年、当時19歳だったジャック・パランは父マキシムのドメーヌで働き始め、1953年には指揮をとり、ネゴシアン業も始めました。今日、ドメーヌはパラン家の姉妹であるアンヌとカトリーヌによって運営され、17世紀に始められた一族のワイナリーの伝統を継承しています。
畑はおよそ10ヘクタールに渡り、その大部分はコート・ド・ボーヌの赤ワインを産出します。パランが最も力を入れているのはポマールのワインですが、コルトン、ラドワ、ボーヌ、モンテリーといったアペラシオンも生産されています。葡萄は、酸化鉄によって赤色に染まった粘土石灰質土壌で育てられます。この土壌によって、ピノ・ノワール種の特性が充分に引き出されるのです。畑では一貫して有機栽培を採用しており、収穫はすべて手摘みで行います。収穫された葡萄は、厳しく選果した後、除梗されます。温度管理をした状態で12~20日間の発酵を行います。そしてワインはフランス産のオーク(新樽比率30~60%)で熟成されます。
アンヌ・パランは地元に密接な関わりを保ち、高い評価を受けています。ワイン造りの信条は、ピュアで複雑な構造を持ち、エレガントで力強い味わいを備えていることです。その卓越したワインの質は、一族に受け継がれた厳格な仕事の結晶だと言えるでしょう。