ジャン・ラルマン・エ・フィス ミレジメ グラン・クリュ 2009
ドサージュ:4g/L
【テイスティング・コメント】
黄金がかったイエロー。粘性は中程度。ドライアプリコットや洋梨、グレープフルーツ、焼きリンゴ、ジンジャー、ローストしたアーモンド、チョーク、ミネラルの香り。次第にマーマレードジャムや蜂蜜のような甘さが広がり、イーストやブリオッシュ、ビスケット、栗、焦がしバター、パイ生地などのブーケが次々と現れる。品の良い熟成香、複雑性に富む。口に含むと繊細な発泡とともに広がる凝縮した果実味で、重心が低く男性的な味わいながら柔らかくエレガンスを兼ね備えている。熟成感はもちろんだが表情は明るく旨みが集約されており、飲み飽きしない美味しさ。酸味は穏やかで、味わいの強弱のバランスの良さはまさにジャン・ラルマンの真骨頂と言える。ミネラルを含み、ふっくらとしたボリュームある味わい。フィニッシュはドライ、果実のフレーヴァーが余韻に残る。合わせるお料理は、グラタンやクリームシチュー、シーフードときのこのアヒージョ、アクアパッツァ、寿司、白身魚の刺身・マリネなどがおすすめ。
※2016年12月試飲
■ジャン・ラルマン・エ・フィス
ランスの南東、グラン・クリュがひしめくモンターニュ・ド・ランスの丘陵の中でも、有名メゾンのみならずシャンパーニュ中の生産者がこぞって手に入れたいと望むピノ・ノワールを生むのが、ヴェルズネイです。ピノ・ノワール最高の土地として双璧をなすアイの魅力が芯の強さと密度を備えた大らかさであれば、ヴェルズネイの美点は、北斜面と白亜質の土壌が生む精緻な酸やミネラル感、透明感や伸びやかさ、そして丸く完璧なバランスと気高さだといえます。
ジャン・ラルマンは、このヴェルズネイでも1、2を争う最上の区画を所有するレコルタン・マニピュランです。風貌からも職人気質が見てとれる現当主ジャン・リュック・ラルマンの曾祖父の代からブドウ栽培を行っており、シャンパーニュ造りは1951年に開始。かつてボランジェやランソンにブドウを供給し、メゾンのクオリティを支えていた畑は、北斜面でも日光がしっかり当たる中腹にあり、砂や粘土の影響が強い斜面上部と違って、粘土質の表土の下にはベレムナイトが堆積してできた分厚い白亜の層が横たわります。熟度とミネラル感のバランスが素晴らしいブドウが得られる絶好のテロワールですが、ジャン・リュックは贅沢にもそれぞれの樹で一番出来の良いブドウしか収穫せず、摘み残したブドウは土に還して肥料にしているといいます。
恵まれたテロワールの特徴を表現するため、リュット・レゾネでブドウを栽培。醸造においては自然酵母を用いてホーロータンクで発酵を行うことで、テロワールの偉大さを鮮明に伝え、同時にマロラクティック発酵にて滑らかな質感を引き出しています。
春には瓶詰めする生産者が多い中、ベースワインを夏まで熟成させ、SO2の使用やドサージュを抑えるなど、細部に渡るこだわりの積み重ねにより、ベーシックなブリュット・トラディションですら、評論家の心をつかんで離さない、ヴェルズネイのピノ・ノワールのエッセンスが凝縮されたシャンパーニュを生みだしています。
ワイン・バイヤーズ・ガイド第7版にて最高評価の5ツ星を獲得!
ロバート・パーカーは、ワイン・バイヤーズ・ガイド第7版にて最高評価の5ツ星にて評価。また、ワイン・アドヴォケイト誌でシャンパーニュも担当していたワイン評論家アントニオ・ガローニは、近い将来リリースされるミレジムと、ネゴシアンとの契約終了によりジャン・ラルマンの生産量が増えることに期待を寄せているのだとか。しかし、ヴェルズネイの他にヴェルジーとリュードの畑を合わせても僅か4haの所有畑にて、これ程贅沢なワイン造りを行っているため、今後も入手困難な優良生産者の一人であることに変わりはありません。