レ・グラン・ブラン フュ・ド・シェーヌ 2014
樽発酵、樽熟成させたキュヴェです。葡萄の平均樹齢は50年、植密度は4700本/ha。土壌は粘土シルト質です。収穫は区画ごとに手摘みで行います。発酵は天然酵母を使い、フレンチオークの新樽で行います。バトナージュは行いません。そのかわり、樽にローラーがついており、樽を回転させることで澱と攪拌しています。熟成はそのまま樽で6ヶ月行います。フィルターをかけずにボトリングし、瓶で1年間寝かせることで樽と果実味のバランスがよくなります。
【テイスティング・コメント】
黄金がかった淡いイエロー。粘性は高め。香りにはアプリコットや黄桃、マンゴーなどのトロピカルフルーツのアロマにアカシア、ジンジャー、麦わら、塩気、ミネラル、そして仄かに甘い蜂蜜のノート。樽香はリッチでバニラや香木、クレームブリュレ、カラメルを思わせボリューミーな奥行と複雑性に富む。アタックはソフトでなめらか。果実味は濃厚ながらエレガントな酸とのバランス。熟れた柑橘類にオークの要素がバランスよく混ざり合い、シェリー酒に似た深みとコクが備わっている。アルコール分が充実し、膨らみ豊かなフルボディタイプ。フレーヴァーの広がりが大変豊か、ヘーゼルナッツやパンのような香ばしさがアフターまで持続する。合わせるお料理は、帆立や白身肉のソテー、白身魚の天ぷら、フォアグラ、アヒージョ、鍋料理などがおすすめ。
※2016年12月試飲
■シャトー・ド・ラ・ヴィエイユ・シャペル
2006年よりフレデリックとファビエンヌのマリエ夫妻によって営まれるシャトー・ド・ラ ヴィエイユ・シャペルは、ボルドーから24kmほど離れたジロンド県の小さな村、リュゴン・エ・リル・デュ・カルネに位置しています。シャトーはもともと12世紀に建てられた古い教会で、ドルドーニュ川に面しています。その昔、聖母マリアを祭ったこの教会は、リュゴン・エ・リル・デュ・カルネ地区のカトリック文化の中心でした。またブルゴーニュの王や、北からやってきた異教徒との激しい戦いの場にもなりました。18世紀末のフランス革命前までは、ベネディクト会の修道士達がこの教会に住み、土地を管理していました。
オーナーのフレデリックは1984年から約1年間、日本語を学ぶために日本に留学していたことがあります。昼間は語学学校に通い、午後からはレストランでアルバイトをしていたそうです。そのため、少し日本語が話せます。しかも同じレストランで働いていたフランス人の奥様と出会い、それがきっかけで結婚に至ったとのこと。その後、いったんフランスに戻った後、約10年間、フランス企業の駐在員として中国に滞在した後、1998年にフランスに帰国しました。
ワイン愛好家で美食家の家庭に育ったフレデリックは若い頃から素晴らしいワインに接する機会に恵まれていました。40代を迎えた頃には、長年抱いていたワイン造りへの情熱を実現させたいと思うようになりました。フレデリックは冗談交じりに、「いわゆる中年の危機というやつだよ」と言っていました。家族や親しい友人の助けを受け、2006年にシャトー・ド・ラ・ヴィエイユ・シャペルを手に入れました。しかし、理想の土地を見つけるまでには14年もの月日がかかりました。フレデリックは、最初から最終的にはビオディナミでのワイン造りを目指していました。そのため、自然環境が守られている場所を探す必要がありました。ボルドーのみならず、ブルゴーニュやロワール、アルザスやプロヴァンスなどフランス中のワイン産地、100箇所を超える土地を見て回りました。
2008年からは化学的な農薬を一切使用せず、オーガニック栽培へと転換。2013年にオーガニック認証(エコセール)を受けています。2016年にはビオディナミの認証、デメテールの認証を受ける予定です。