ドメーヌ・オー・ピエ・デュ・モン・ショーヴ サン・トーバン プルミエ・クリュ ピタンジュレ・ルージュ 2012
平均樹齢:40年
テイスティング・コメント
エッジに薄っすらとオレンジが混ざるガーネット。粘性は高め。香りにはラズベリーやブラックベリー、プラム、スミレ、バラのドライフラワー、リコリス、ピンクペッパーやシナモンなどのスパイス、スモーキーなオークのノート。「レ・シャルモア」と比較すると、より甘酸っぱくチャーミングさがただよう。出しゃばらない樽香にはバニラやコーヒー豆、白檀を思わせ、深みのあるエレガントな芳香が魅了する。アタックはソフトでなめらか。果実味は豊かで瑞々しく、オイリーなテクスチャー。味わいは辛口ながら、集約された旨みがじんわりと染み渡り、ほんのりと甘くとても滋味深い。アペラシオン特有の逞しさはもちろんだが、全体に丸みを帯びておりしなやかさを併せ持つ。キメ細かなタンニン、柔らかな酸とのバランス。アフターには心地よい渋みとともに果実とオークのフレーヴァーが持続する。合わせるお料理は、牛や仔羊・鴨肉のロースト、ジビエ、鶏の照り焼き、鰻の蒲焼、麻婆豆腐などがおすすめ。
2017年1月試飲
ドメーヌ・オー・ピエ・デュ・モン・ショーヴ
ドメーヌ・オー・ピエ・デュ・モン・ショーヴは、シャサーニュ村に本拠地を置き、当主はフランシーヌ・ピカール女史。シャトー・ド・シャサーニュ・モンラッシェを所有する大手メゾン、ファミーユ・ピカール社の娘です。フランシーヌは同社が所有する畑の中から最良の区画のみを選出し、実験的にビオロジック・ビオディナミ栽培を実践してきました。それらの畑をメゾン部門と完全に切り離し、高品質のワインを生産するドメーヌを創立する構想が持ち上がりました。
フランシーヌがまず行なったのは、メゾンの醸造スタイルを一新し、ワインの品質を飛躍的に向上させる事でした。約2年間の歳月を費やし、新生Famille Picardとしてまずメゾンを見事再スタートさせました。そしてこれを機に、今まではメゾンのワインにブレンドされていたピュリニーやシャサーニュ等の最良の畑を携え、メゾンとは全く独立させた形でドメーヌを立ち上げたのです。こうしてメゾン・ピカールの3代目フランシーヌ女史を当主にドメーヌ・オー・ピエ・デュ・モン・ショーヴが誕生しました。ファーストヴィンテージは2010年です。
ドメーヌの所在はシャサーニュ・モンラッシェ村。栽培醸造はフランシーヌ・ピカール氏とメゾン新生の立役者でもあるファブリス・レーン氏などを含む4名のスタッフで行われます。ファブリス氏はBouchard Pere & Fils社で白ワインの醸造責任者を歴任。その後、Maison Nicolas Potelでニコラ・ポテル氏の片腕として辣腕をふるい、退社後、それまでの華々しい経歴をかわれドメーヌに招聘されました。サン・トーバン、シャサーニュ、ピュリニーに15haの葡萄畑を所有し、レ・ヴェルジェ、レ・カイユレ、ル・ドモワゼルなどの1級畑はベルナール・コランから買い取りました。手付かずの自然の状態であった畑を、2006年よりドゥ・セニュール氏(25年以上のキャリアを持つ南仏のビオディナミスト)をコンサルタントに迎え、ビオディナミ農法を慣行。一部のピノ・ノワールの畑を除き2013年にはすべての畑をビオディミに移行します。
フラッグシップとなる、PULIGNY MONTRACHET 1er LES DEMOISELLES/ピュリニー・モンラッシェ1級レ・ドモワゼルは特級畑のル・モンラッシェとシュヴァリエ・モンラッシェに隣接する最上級の区画。その昔は『レ・ドモワゼル・モンラッシェ』としてリリースされていた事実上のグランクリュです。イギリスの著名ワインジャーナリストJancis Robinson女史が既に大変高い評価をしており、また、R.Parker.comのテイスターのDavid Schildknecht氏、Michel Bettane氏等、世界を代表するジャーナリストが噂をききつけて、ドメーヌまで訪問をしています。今後、より一層注目を集める生産者の一人です。