シャトー・モーカイユー・フェルタン 2001
熟成:フレンチオークにて16～18ヶ月(新樽40〜60%)
【テイスティング・コメント】
オレンジがかったガーネット。深みがあり、粘性は中程度からやや高め。香りにはブラックチェリーやプラム、ブラックペッパー、ミント、そして樽熟由来のタバコ、コーヒー、スモーク香。熟成による複雑なブーケが広がり、茸やタール、杉、皮革、ジャーキー、鉄サビなどのニュアンスが現れる。アタックはソフトでなめらか。酸味とタンニンは熟成によりこなれているもしっかりと存在感があり、味わい・果実味を支えている。ブラックチェリーやリコリス、茸、湿った土を思わせ程よくスパイシー、カカオのビターなフレーヴァーが深みと奥行を与えている。まろやかなコクと旨味に溢れた良質ボルドー。カベルネ主体らしい骨格をもち余韻は長くエレガント。合わせるお料理は、赤身肉を中心とした料理、仔羊や鴨肉のロースト、ビーフシチュー、牡蠣フライ、ドライトマトとアンチョビのパスタなど。
※2017年3月試飲
■シャトー・モーカイユー・フェルタン
シャトー・モーカイユー・フェルタンは、ムーリスのクリュ・ブルジョワ、シャトー・モーカイユーが所有するシャトーで、ラマルクにあります。醸造所とセラーはモーカイユーの横にあります。シャトー・フェルタンは1883年の本に7つのクリュ・ブルジョワのひとつとして記録があります。1972年にフィリップ・ドゥールトが購入しました。1990年に、モーカイユーの血筋に相当するとして、現在の名前に変更しました。 1994年からフィリップの娘のマガリが引き継いでいます。畑は13haで、76%がメドックらしい砂利土壌、24%がメルロに適した粘土質石灰岩土壌です。収穫は手摘みと機械摘みの両方で、天候によって選びます。選別は畑と収穫室で2度行います。醸造は、モーカイユーと同様に、フィリップ・ドゥールトの手法で行い、醗酵の最初は低温で、最後は高温で終えます。16～18ヶ月フレンチオークの樽(新樽40〜60%)で熟成します。
シャトー・モーカイユー(2003年の格付けでブルジョワ・スペリュール級に格上げ)
講談社『 BORDEAUX ボルドー 第4版』 ロバート・パーカーJr.著より以下抜粋
モーカイユーは一貫して、メドックにおける最良のお値打ちワインの代表的存在であった。ここのワインはたくましく、生気溢れるフィリップ・ドゥールトによって、非のうちどころなくつくられている。このシャトーに、批判すべきところはほとんどない。モーカイユーは深みのある色、すばらしい熟した果実の凝縮感、良好なボディ、やわらかなタンニンがあり、10～12年以上にわたって上品な熟成を見せるに十分なグリップとエキス分を持っている。1980年代初めから、ワインは最高50%の新樽で、残りは著名な格付けシャトーから購入した2年樽で熟成されている。
10年間に及ぶ熟成能力を維持しながら、リッチで、肥えた、若いうちでも飲めるワインをつくるのは簡単ではない。モーカイユーは、硬くてタニックなワインをもたらしかねないムーリの土壌を手なずけることに、明らかに成功したのである。このシャトーは格別にエレガントで、高い満足感が得られるワインをつくってきた。そのワインは過小に低価格のついたごく少数のボルドーの1つに数えられる。メドックの田舎道を楽しむ冒険好きな旅行者には、シャトー・モーカイユーを訪れることをぜひおすすめしたい。ここには魅力的なワイン醸造博物館があり、さらに、見学者には新酒をテイスティングする機会が設けられているからだ。
