ドメーヌ・ピエール・ルイ&ジャン・フランソワ・ベルサン サン・ブリ 2014
熟成:ステンレス・タンク
【テイスティング・コメント】
グリーンがかった淡いレモンイエロー。粘性は中程度。香りには新鮮なグレープフルーツやライムなどの柑橘類にライチ、ジンジャー、レモングラス、ジャスミン、トマトの葉。石灰的なミネラルのニュアンスがアクセントととなり華やかでフルーティーな芳香が引き立される。清涼感に溢れた品の良いアロマ、奥からは独特なスモーキーな香りを印象づける。アタックは爽やかでなめらか。生き生きとした豊かな果実味で、伸びのあるクリアーな酸味が調和。ミネラルの構造が味わいを支えており、親しみやすい果実感にも洗練された辛口に仕上がっている。アロマオイルのような香味の広がり、エキゾティックでビター感が良好。心地よく引き締まったスッキリとしたフィニッシュで、余韻にはグレープフルーツの皮やミネラルのようなほろ苦さ。合わせるお料理は白身魚のマリネや酢の物、お寿司、すだちやレモンを添えたお料理、カレー、チーズであればヤギのチーズがおすすめ。
※2017年5月試飲
■ドメーヌ・ピエール・ルイ&ジャン・フランソワ・ベルサン
1986年生まれのピエール・ルイ・ベルサン氏。12歳の頃から漠然とではありますが、ヴィニュロンとしての将来を考えていたそうです。2002年にブルゴーニュのボーヌにある農業学校で学び、2008年には世界のワイン造りを学びたいという思いからニュージーランドのセントラルオタゴのワイナリーでも研修を受けました。
その後、フランスに戻った彼は、父ジャン・フランソワとともにそれまでのドメーヌ・ベルサンから二人の名前を冠して、2010年、ドメーヌ・ピエール・ルイ&ジャン・フランソワ・ベルサンと名前も一新し親子二代で出発しました。彼らが本拠地を構えるのはシャブリを生産するヨンヌ県のサン・ブリ。ブルゴーニュ唯一のソーヴィニヨン・ブランを産出するAOCで、土壌構成はロワールやシャンパーニュ南部に似ています。
新しいドメーヌ名になって僅か数年ですが、代々家族経営でワイン造りを行ってきました。歴史は大変古く1453年、15世紀まで遡ることができます。ジャン・フランソワとピエール・ルイは、テロワールを尊重する伝統的な手法を貫いています。近代技術の進化によって、彼らは所有する20ヘクタールの畑のポテンシャルをより引き出し、新たな段階へと進み始めました。今では醸造から瓶詰めまでのすべてを衛生的で精密な作業のできるステンレスを用いた近代的な蔵で行っています。
そうして瓶詰めされたワインは11~12世紀頃に造られたという丸天井の地下カーヴでゆっくりと熟成をさせます。イギリスとの100年戦争時に塹壕として造られた、まるで迷路のように入り組んだ地下カーヴは、この地方の観光名所にもなっているほどです。ジャン・フランソワとピエール・ルイは、このサン・ブリの地で13haの白ブドウ畑と7haの黒ブドウ畑を所有しています。年間生産量はおよそ15万本。そのうち半分はイギリスやベルギー、アメリカなどに輸出されています。
サン・ブリ Saint-Bris
AC.サン・ブリでは、ブルゴーニュで唯一のソーヴィニヨン・ブラン種で造られる辛口白ワインが産出されています。シャブリ地区の南西に位置し、土壌はシャブリ地区同様にキンメリジャンと呼ばれる石灰質(白亜質)・泥灰土壌。石灰岩と化石を多く含むためミネラルを豊富に含んだ、生き生きとした張りがあり、品種特有の香り高いアロマを持つワインを生み出します。アペラシオンに制定されたのは2003年とまだまだ歴史は浅いですが品質は高く、同じソーヴィニヨン・ブラン種で造られるロワールのサンセールと飲み比べてみるのも面白いです。