ピアン・デッロリーノ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ ヴィニェティ・デル・ヴェルサンテ 2011
醸造:木製タンクにて34℃の温度管理を行い、野生酵母を使い醗酵。醗酵後、果皮と共に6週間の侵漬を行います。
熟成:スラヴォニアンオーク樽(25hl)にて45ヶ月熟成。
★評価
2010VT ワイン・アドヴォケイト:97点獲得!
2010VT ヴィノス:97点獲得!
【テイスティング・コメント】
ほんのりとオレンジがかったエッジ、濃い目のルビー。粘性は高め。香りにはラズベリーやブラックチェリー、ドライトマト、ドライフラワー、樽からくるタバコ、シナモンやクローブなどのスパイシーなオークのノートが混じり合う。次第に白檀やモカ、アーモンドなどの芳しい香りが現れ、なめし革、ジャーキー、スモーク、ミネラルのニュアンスが続く。さらに後にはレモンティーのような心地よい酸を感じるエレガントなブーケ。アタックはなめらかでしっとりとしたテクスチャー。果実味はピュアな旨みに溢れており繊細にして層状の舌触りを持つ。熟したタンニンと溶け込んだ酸とのバランスがよく、スケールの大きさを感じさせるしっかりとした構造。ミネラリーだが「口溶け」がよく、味わいはまろやかな辛口、フィニッシュのキレがよい。知的で出所の良さを感じさせるエレガントなフルボディ、綺麗なミネラルを身上とする、まとまりの良さが光る。アフターの余韻は長く、熟成のポテンシャルを大いに秘めている。すぐ飲むのであればデカンタージュを。
※2017月6試飲
■ピアン・デッロリーノ
モンタルチーノ近郊でコンサルタントとして活躍する、ドイツ出身のヤン・ヘンドリック・エルバッハがコンサルタントの経験を活かし、1996年より自ら始めたワイナリー。コンサルタントを行う先はワイン・スペクテーターでも高い評価を獲得し、一躍有名となった「ポデーレ・サリクッティ」が代表的です。
ヤンはドイツやフランス、トスカーナ等様々なワイナリーを始めスコットランドのウィスキー蒸留所でも経験を積み、様々な国で飲まれるお酒の味を経験してきた人物です。その為自らが作るワインは、世界各国の人々が楽しめる均整の取れたスタイルであり、かつモンタルチーノのテロワールが最大限に尊重されたワインです。ヤンは現在も『鼻と口、そして喉を通る全ての感覚が完璧に調和する究極のバランス』を目指しています。
葡萄一房一房に対して100%の力を注ぐ“完璧主義”のこだわりの仕事
ヤンは徹底した完璧主義者です。醸造家としてモンタルチーノで活躍するヤンですが、『良質なワインは良質な畑から』という信念を持ち、自らのワインに対して最も力を入れるのは畑仕事です。モンタルチーノの畑は5~6歩動けば土の色が変わり、転がる石の大きさも異なる様々な個性が入り組んだ土壌。その土壌の性質に合わせた葡萄の手入れを行います。
完熟した葡萄を得る為に右から左へ順番に収穫を行うのではなく、葡萄の完熟度合いによって収穫日を変える為、同じ畑の中でも収穫は幾度にも渡り行われます。同じ畑の中でも生育の早い樹の列と遅い樹の列がある為、杭の頭に赤、青、黒、緑の色を塗ってその色の杭毎に収穫を行います。栽培する一房一房に100%の力を注ぎ、その中で最も良かった葡萄を「リゼルヴァ」→「ブルネッロ」→「ロッソ」という順番で使っていきます。
また葡萄と葡萄の間には各列交互1年毎に下草を約20種類生やし、土壌の保水力を高めます。そうすることにより雑草と葡萄の生存競争が起こり、結果、葡萄の根は地中深くに養分を求め伸びていく事になり葡萄に複雑な味わいをもたらすメリットや、畑にトラクターなどが入った際にタイヤで土壌が固まるのを防ぐクッションの役割も果たします。あまり伸びすぎると必要以上に土壌の養分を下草に吸収されてしまう為、各列交互に1年はやしたら全て抜き、1年土壌を休ませ翌々年にまた生やすということを繰り返します。
ワイナリーもなるべく自然な環境で醸造を行いたいという考えから、建物の内壁から床、柱に至るまで全て自然の素材からできた建材を使ったワイナリーを2008年に建設し、葡萄に極力負担を掛けないようにする為、醸造行程を追うごとに重力で下ろしていける様に設計されています。また、極力自然な空気をセラーに入れる為に床の所々に地面が剥き出しになっています。
更に醸造面においては徹底して良質な樽を導入。樽の仕入れ先は有名なメーカーではなくとも、いい樹を仕入れる事ができ、かつ屋内ではなく必ず屋外で木材を保管し、細かいトースト具合から樽材の厚さまで注文できるトネリエ(樽職人)のみから樽を購入します。
高密度でピュアなフリーランジュース100%のブルネッロ
ピアン・デッロリーノのブルネッロ・ディ・モンタルチーノの特筆すべき点には、フリーランジュースを100%使用する事も挙げられます。生産者にとってファースト・ワインに最善の手段を取るのは当然の事。ピアン・デッロリーノは最も高密度でピュアな葡萄の味わいが得られるフリーランジュースを100%用います。フリーランジュースとは破砕後プレスを行わず葡萄の重さだけで自然に流れ出す搾汁の事で、僅かしか得られない為、非常に貴重な果汁です。フリーランジュースはエグ味等のネガティブな味わいが少ないピュアで旨味の強い果汁を得られます。