テヌータ・サン・アントニオ アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ セレツィオーネ・アントニオ・カスタニェーディ 2013
醗酵:ステンレス・タンク(25日間)/主醗酵後、オーク樽にてマロ・ラクティック醗酵
熟成:オーク樽熟成 24カ月(500L、新樽比率100%、フランス産)
【テイスティング・コメント】
エッジがオレンジと赤紫が混ざる濃いガーネット。粘性は高め。香りには熟した赤い果実やチェリーのコンポート、プルーン、レーズン、リコリス、紅茶、シナモンやペッパーなどのスパイス香。そして樽由来のバニラやクローブ、チョコの香り、アーモンド、なめし革、ジビエ、黒砂糖の香りが続き、複雑でほんのりと甘い香りが魅了する。アタックはなめらかで全体に柔らかく、しっとりとした舌触りとともに温かな印象。丸いタンニンとエレガントな酸味がバランスよく溶け込んでおり、完熟感はもちろんのこと辛口にしてシロップ漬けの果実の甘さ、残糖感を伴う。力強い個性をもち味わいは濃厚、アルコール分が高いが口当たりがスムーズで、前面に表れる果実味がそれを嫌みに感じさせずエレガントに仕上がっている。ボリューム感があり飲み応え十分のフルボディ、アフターの余韻は長く持続性がある。これこそがアマローネ、他のワインにはない独特の質感と香味の広がりをもつ。合わせるお料理は、鴨肉のローストやラム肉の煮込み、ジビエ、煮込みハンバーグ、すき焼きなど。チーズであればゴルゴンゾーラがおすすめ。
※2017年7月試飲
■テヌータ・サン・アントニオ
世界的な人気を誇るヴェネト州の4兄弟
1989年設立と比較的新しい生産者ながら、今やヴェネト州でも名の通ったスターワイナリーへと成長したテヌータ・サン・アントニオ。ヴェネト州の生産者協同組合の創立者であったアントニオ・カスタニェーディ氏を父にもつ4兄弟が力を合わせて運営し、僅か20年ほどでヴェネト州を代表する生産者にまで成長しました。
ブドウ栽培は設立以前から行っており、この地域での栽培に対する豊富な知識と経験を存分に発揮。そして何より4兄弟が力を合わせ、消費者の立場に立ったワイン造りに対する熱意は市場で認められ、今や世界中で爆発的な人気を誇る生産者になりました。お手頃な価格帯だけではなく、海外の専門誌でも高い品質評価を受けるワイナリーです。
ワインを愛する人を第一に、果実味豊かで上品なワインを
ワイン造りの信念はとても明快です。そのポリシーは以下の3点
・お客様第一主義
・美味しいワインを造る
・品質が高くコストパフォーマンスに優れたワイン
常に自分達のワインを飲んでくれる消費者のことを第一に考えており、そのことがワイン造りにも現れています。
理想とするワインのスタイルについて聞いてみると、
・上品なワイン
・果実味豊かなワイン
・陰干ししたワインには、酸がしっかりしたワイン(陰干ししたワインにはややもすると酸がぼやけてしまうケースがある)
地域の個性を表現したワイン造りをしているといえます。
こだわりの収穫
栽培の責任者であるティツィアーノとマッシモの2人がそれぞれの畑の特徴を把握し、最適なタイミングで収穫しています。収穫は元々1回で済ませていたものを、経験により2回、必要ならば3回、と行い最良のブドウを得ています。ここで問われるのは、収穫のタイミング。どんなに回数を分けてもタイミングを誤ればマイナスの効果をもたらしかねません。
しかし、テヌータ・サンアントニオではこの難しいタイミングを見分け、より繊細なワイン造りを実現しています。この収穫のタイミングのすばらしさというのは、彼らのソアーヴェを飲んだら一目瞭然!フレッシュでありながらも余韻の長さを残す。これは、この収穫が効果的に行われている結果です。
古い慣習にとらわれない、新しい手法・技術への挑戦
彼らの栽培・醸造におけるこだわりは徹底しています。「畑の使い分け」「収穫」「アマローネの醸造技術の応用」「ブドウの陰干し」・・・と、数え上げればきりがないほど。古い慣習にとらわれない、新しい手法・技術への挑戦は、彼らが父からワイナリーを引き継いだ時から始まりました。長年組合で培われたノウハウと家族経営の強みを生かした素晴らしいクオリティのワインを造り出す彼らは、「ヴェネトの伝統を進化させた新しい造り手」として熱い注目を浴び、瞬く間に「あまたある協同組合のブドウ生産者の1つ」から「ヴェネト州のトップ・ワイナリーの1つ」にまで成長。近年ではイタリア国内はもとより、ドイツやスイスなど世界各国の市場でもその人気は高まってきています。