キーヴァー・ヴィンヤーズ カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2014
熟成:フレンチオーク(新樽70%)
【テイスティング・コメント】
紫がかった深いルビー。粘性は高め。香りには完熟した様々なベリーフルーツやカシスリキュール、ミント、スパイス、リコリスが混じり合い、リッチなオークフレーヴァー、芳醇で濃縮感がただよう。上品で暖かみのある香りで、バニラや香木、モカ、カカオパウダーのような香ばしさ、そしてなめし革、杉、ナツメグ、トフィーのようなニュアンスがあらわれる。素晴らしく複雑なアロマとブーケ、仄かな甘さが魅惑的で、スモーキーさと一体となる。アタックはなめらかでしなやか。それでいてボディは力強く、ジューシーな果実味が瞬く間に口中を支配する。フルボディで豊かだが、タンニンは甘くキメ細やかで柔らかな酸味と調和、口当たりが良い。ふくよかでフルーティーで、その近づきやすさから高いアルコール分を嫌みに感じさせず味わいは明確で層状、丸みを帯びており、若いうちから存分に楽しめる。グラン・ヴァンたる風格はまさに資質、力強さとエレガンスを兼ね備え、余韻の長さが突出している。合わせるお料理は、牛やラム、鴨肉のロースト、スペアリブなど。
※2017年12月試飲
■キーヴァー・ヴィンヤーズ
元ボーダーフォンアジアのCEO、ウィリアム・キーヴァー氏が設立した家族経営のワイナリー。あの“スケアクロウ”を世に送り出すカリフォルニアの三女神最後の一角、セリア・ウェルチ氏をコンサルタントとしてではなく、スケアクロウと同じく全てのオペレーションを行う直々のワインメーカーとして指名し、ヨーントヴィル地区(Yountville)西側の斜面でひっそりと極上のワインを手掛けています。キーヴァーは「スケアクロウの影」とも評される隠れワインです。
ヴィンヤード・マネージャーにはカルトワインへの高級葡萄請負人、ジム・バーバー氏を迎え、豪華な布陣で至極の小ロットワインを生産。醸造はワインにとって最も理想的といわれる重力を使ったグラビティーフローを近代的な設備を駆使して再現させるという、小ロットワインの醸造環境では最高峰の方式を採用しています。年間生産量約2,000ケース。
ワインメーカー:セリア・ウェルチ氏
オレゴン生まれで、熱烈なワインコレクターの娘として生まれた彼女はコレクターから醸造分野へと華麗な変身を遂げます。1982年にデーヴィス校のファーメンテ―ション・サイエンスを修め、米国はウェストコーストからイーストコーストで幅広い醸造様式を学び、国外に出てニュージーランド、オーストラリアの新世界スタイルに触れ米国に帰還。帰還後はマウント・ヴィーダー・ワイナリーやシルヴェラード・ヴィンヤードで研鑽を積み、ロバート・ぺピでアシスタントワインメーカーに就任、同時にスタグリンをコンサルタントするようになり、1995年からは独自のワインスタイルを確立し、より高位の醸造コンサルタントとしての活動を開始。2008年にFood & Wine誌に於いてワインメーカー・オブザイヤーに輝いています。
ヘレン・ターレー氏、ハイジ・バレット氏に続くカリフォルニア3女神と言われる優秀な女性醸造士。彼女が醸造コンサルタントとしてではなく直接醸造士として参画するということはワイナリーの醸造様式のクオリティ、ポテンシャル、そして葡萄の質があるという何よりの証左。
Vineyard(畑)
ヨーントヴィル西側斜面にワイナリーを構えるKeever Vineyards。(たったの)6.5エーカーという極小規模のヒルサイド畑はローム層で水はけが非常に良く、岩がゴロゴロとしている東向きの理想的な斜面。産出されるカベルネ・ソーヴィニヨンやソーヴィニオン・ブランは個性的なキャラクターと凝縮味をもつ葡萄へと成長します。畑の管理にはジム・バーバー氏を擁し、キメの細かく、且つ土地の個性を引き出すバーバー氏の葡萄キャラクターづくりが行われています。
ヴィンヤード・マネージャーであるバーバー氏はナパで35年以上のキャリアをもち、これまでにもグレース・ファミリー、ダラ・ヴァレ、スクリーミング・イーグル、アミューズブッシュ、ハンドレッド・エーカーなどの弩級の畑を手掛けています。彼の運営する会社、バーバー・ヴィンヤーズは現在400エーカー以上の畑を管理、コンサルティングなどを行っています。セリア・ウェルチ氏とも表裏一体の関係で相性が良いらしく、現地では至極のワインを生み出す黄金コンビとしても知られています。