シャトー・クーフラン 2009
【テイスティング・コメント】
エッジが赤紫がかった深いガーネット。粘性は中程度より高め。香りにはブラックベリーやブラックチェリー、プラムなどの果実香にアニス、野生のハーブ、クローブ、ローストしたオークのノートが混じり合う。モカ、特徴的なホワイトチョコの香り、そしてミネラルのヒント。加えて腐葉土や皮革、杉、ジビエなどの強いブーケが広がり奥行が増す。アタックはソフトでしなやか。濃縮された果実味がありふくよかなボディ感、タンニンはキメ細かく酸味とともに溶け込んでいる。密度が高くそれでいて柔軟な個性をもち、舌触りはなめらかで口当たりが良い。充実した飲み応え。アフターの余韻は長くほろ苦さが心地よい。合わせるお料理は、赤身肉のローストやグリル、バルサミコ酢を使った肉料理、ジビエ、茸料理など。
※2017年12月試飲
■シャトー・クーフラン
講談社「BORDEAUX ボルドー 第4版」ロバート・パーカーJr.著より抜粋
クーフランの広々とした葡萄畑は、サン=テステフとの境界から北に12km、県道2号線に沿ってサン=スーラン=ド=カドゥルヌ村を過ぎたところにある。このシャトーは1924年からミアイユ家が所有し、現在は同家が運営もしている。ボルドーのブルジョワ級の品質を向上させたことでよく知られた一族である。
クーフランの最も際立った特徴は、ブレンドに使うメルロの比率が高いことだ。メルロはメドックのこのあたりに共通の、重く、厚めの土壌でもよく育つと所有者が判断したのである。このため、ワインは出荷の時点で飲めるものと性急な結論を下した人もいた。私はそうは思わなかった。クーフランは最高のヴィンテージでも、樽からの時はしなやかで果実味があるのだが、瓶詰めされると、寡黙でタニックになってしまうことが往々にしてある。良好なメドックではあるが、収量が極端に高く、機会による収穫を行なっていることが、最終的な品質に何らかの影響を与えるのではないだろうかと思わせてしまう。
ここ数年間では2000年、1996年、1995年及び1990年が品質の点で際立っている。