クライネン・フリッツ ピノ・ブラン アイスヴァイン 2016 極甘口 375ml
ブドウはピノ・ブラン種(ヴァイサー・ブルグンダー100%)。もちろん自然氷結、収穫は全て手摘みで行われます。特筆すべきはその贅沢な糖度。残糖なんと166.5g! しかしながらアイスワイン特有のエレガントな酸に下支えされ、決してくどすぎない素晴らしいバランスに仕上がっています。
テイスティング・コメント
グリーンがかった淡いレモンイエロー。粘性は低め。香りには新鮮なシトラスやメロン、洋梨やリンゴのコンポート、白い花のアロマにジンジャー、レモンティー、蜂蜜、キャンディ。フルーティーかつフローラルなアロマの中にも洗練されておりミネラルのニュアンスが心地よいアクセント。アタックはソフトでなめらか。果実味は濃密でピュア、極甘口のアイスヴァインにあって爽やかさと酸度のバランスが長けており酸味が綺麗に溶け込んでいる。ミネラリーでとろりとした甘さに加え、凛とした清涼感(緊張感)が好印象。甘く、とろみが程よくあり、それでいてフィニッシュは引き締まっている。ジャミーで甘美なる余韻が続く。
2018年3月試飲
ベッカー醸造所
ファルツの巨大協同組合の跡継ぎだったベッカー氏は、品質へのこだわりから1973年、父の猛反対を押し切って独立します。当初は甘口や貴腐ワイン用の甘いぶどうばかり栽培していた他の農家から「ベッカーのぶどうは酸っぱくてまずい」と理解を得られぬままでしたが、わずか20年で、ワインにかける不断の努力と情熱から、ドイツのピノ・ノワールのトップの1人に登り詰めました。
2006年には、ドイツで最も権威のあるワインガイド「ゴーミヨ」誌で、今最も注目に値する醸造家に贈られる「ライジングスター」賞を受賞、さらに2004年~2012年にかけて、同誌で9年連続最優秀赤ワイン賞を受賞し、他の醸造家の追随を許しません。2008年には洞爺湖サミットでもベッカーのピノ・ノワールが使用され、来賓の方々を唸らせたことも話題となりました。
醸造所のあるシュヴァイゲン村はファルツの最南端。ベッカー氏はなんとフランスとの国境を越えて畑を所有しています。20世紀前半の混乱から何度となく国境線が入れ替わったこの土地ならではの逸話です(歴史的背景により、所有畑がフランス・アルザスとの国境をまたがっています。戦後の混乱期、1955年の独仏両国の特殊な法律によって、フランス領で栽培されたぶどうを使用してもドイツで醸造すればドイツワインとして販売することが可能になりました。)。
豊かな森に囲まれた地に彼は森も所有し、ワインの熟成に使用される樽の3分の2は自己所有の森のオークを使用しています。「世界一エレガントなワインを造る」ことを目標に掲げ、ワイン造りに命をかけるベッカーが醸すワインは果実味に溢れ、風味豊かながらも一貫してキレイな味わいです。また、化学肥料に頼らない、自然な農法を実践しているのもベッカー醸造所の特徴の1つです。