ターリー・ワイン・セラーズ エステイト・ジンファンデル ナパ・ヴァレー 2016
毎日ワイン造りをしながら自宅からも見渡せるこの畑には、皆特別に思い入れがあります。2006年、10年前に遡る植樹に敬意を表し、剪定して乾地農法で育てたジンファンデルを6エーカー植樹しました。これらは全てオーガニック認証を受けています。ここから生まれるワインは熟していて、野生のベリーと香草が味わい深いフルボディになります。
テイスティング・コメント
紫がかった濃いルビー。粘性は高め。香りにはブルーベリーやブラックベリー、ラズベリー、ブラックチェリー、プラムジャム、レーズン、オリエンタルなスパイス、メントール、アクセントに上品なオークのノート。バニラエッセンスやタバコ、ナツメグの香り。オランジェット(砂糖漬けの柑橘類の皮をチョコでコーティングした菓子)のような魅力的なアロマが広がりその奥行は増していく。アタックはなめらかで濃厚な果実感。たっぷりとした旨みが集約されておりグリセリン分が大変豊か。高いアルコール分がリッチでパワフルな印象を与えるが、一昔前のカリフォルニアン・スタイル(単に濃く、甘く、力強いもの)とは別物で酸とのバランスがとれている。辛口にして残糖を感じつつ、過熟なく果実本来のもつ自然な甘さ・旨みが堪能できる。タンニンは程よくまろやかなテクスチャー、親しみやすくもエレガント、高クオリティ、余韻の長さも突出している。合わせるお料理は、牛フィレやラム、鴨肉のロースト、豚肉の生姜焼、すき焼き、バーベキュー、キムチなど。
2018年6月試飲
ターリー・ワイン・セラーズ
カリフォルニア最上のジンファンデル&プティ・シラーの造り手として知られるターリー・ワイン・セラーズは『フロッグス・リープ』の設立者であり、カリフォルニア屈指のカリスマ女性醸造家、ヘレン・ターリー氏の弟でもあるラリー・ターリーが1993年に設立。設立当初はヘレン・ターリーがワインメーカーを務めていましたが彼女のアシスタントを務めていたアレン・ジョーダンが引き継ぎその後はラリーと二人三脚でワイナリーを構築していきます。2012年からは、ターリーで2005年からグローワーとしてアレンの下で経験を積んだティーガン・パサラクアがワインメーカーに昇格し既存のスタイルを壊すことなく更に洗練されたワインを造り出しています。ティーガンはSan Francisco Gateでワインメーカーオブザイヤーに選ばれているほどの敏腕です。
生産している28種のワインの多くは単一ヴィンヤード産のジンファンデルとプティ・シラーです。古い葡萄樹の畑に焦点を当てることでカリフォルニアのユニークなワイン造り文化を創造し、保存することを目指しています。自社の全ての畑はCalifornia Certified Organic Farmers によって認定されていますが、その途上にあり発酵にあたっては全て自然の酵母を使っています。
R.パーカー「講談社版 厳正評価・世界のワイン」より以下抜粋
「ターリー・セラーズのジンファンデルは、これまでこの品種でもっとも複雑で、凝縮した、享楽的なワインとなっているため、ジンファンデルワインの指標となりつつある。批評家の中には、ターリーのワインはアルコール度数が高すぎると指摘する向きもあるが、所有者のラリー・ターリーとワインメーカーのアレン・ジョーダンによると、アルコール度数が高いのは、未熟な果実をいっさい使わず、完熟したもののみを収穫している証だという。ターリーとジョーダンはワイン造りの技術を一層高めてきた。同時にまた、誰も見向きもしなかった、枝先を刈り込んだジンファンデルの古い畑を蘇らせ、白のジンファンデルと心おきなくブレンドできるよう安く放出したのである。ターリー・セラーズの最終目標は、濾過処理を行わない、手作りのジンファンデルを1万ケース醸造することである。」