ヴィーニンガー ウィーナー ゲミシュターサッツ 2019
ニュスベルク(貝殻石灰岩)およびドナウ川の対岸にあるビザンベルク(砂利、黄土土壌)を含む5つの区画のブレンド。実に11種類ものぶどう品種を同時収穫している。平均樹齢は20年。酸と硬質なミネラルがすばらしい。造り手のスタイルをしっかりと感じることができます。
テイスティング コメント
輝きのある淡いレモンイエローにグリーンのトーン。粘性は中程度。香りは洋梨のコンポート、白桃、グレープフルーツやマンダリンオレンジ、ライムの皮、花の蜜、そして鉱物的なミネラルのノートがアクセント。微かにスモーキーで、フレッシュさが全面にあらわれており、他にカルダモンやホワイトペッパーなどのスパイス、塩気のニュアンスも感じられる。アタックは爽やかでクリスピーな飲み口。透明感があり突き抜けるような真っすぐな酸と硬質なミネラル感が特徴で、エキス分を感じるも味わいはしっかりとドライ感。若々しく風味の広がりが豊かで、スパイスが効いている。くっきりとした輪郭をもち、シャープなキレを残しながら香味の広がりとコクを楽しめる。フィニッシュは引き締まっていて、アフターはミネラルのようなほろ苦さ。合わせるお料理は、ソーセージとキャベツの蒸し煮、ハム、ローストポーク、ホタテとアスパラのバターソテー、パスタ、和食など。
2018年12月試飲(2016年ヴィンテージ)
ヴィーニンガー
世界で唯一、首都にある商業ベースのワイン生産地域、それがウィーンです。現在も300軒ほどのワイナリーがあり、総栽培面積は700haほど。しかしながら、そのほとんどがウィーンの名物といえるワイナリーが経営する季節限定のレストラン「ホイリゲ」にて消費される安価なワイン造りに重きをおいています。
その彼らの名物ワインがゲミシュターサッツといわれる混植混醸のワイン。約100年前を振り返るとそのワインの大半はこの製法にて造られた白ワインでした。当時は名声を得て、ウィーンが誇るワインとして確固たる地位のあった銘柄でした。しかしながら、60年代から70年代にかけて潤沢な観光産業向けの大量消費用ワインへと姿を変えていくのです。
その輝かしい歴史の復活を目指しているのがこのヴィーニンガー醸造所。1999年より念願であったウィーンの街が一望できる最高の畑ニュスベルクを譲り受け、世界に誇れる最高品質のゲミシュターサッツ造りを行っています。ヴィーニンガー氏の10年以上にわたる尽力により、2013年にはウィーンのゲミシュターサッツはDAC(原産地呼称)として認可されるまでになりました。
2000年代からはピノ・ノワールの栽培にも力を注いでおり、グラン・キュヴェはシンガポールのコンペティションにて世界No1.の称号を得ています。
ゲミシュターサッツ(混植混醸)とは
1つのエリアにバラバラに植わっている複数の品種を、早熟品種・晩熟品種関係なく、時期を見極めて同時期に収穫、同時に醸造する農法。かつては様々な品種を植えることでのリスク分散を目的としていましたが、近年ではぶどう品種の個性に依らないテロワールの表現方法として注目されています。ワインの味の方向性を決める際は、そのエリアの各品種の作付面積でコントロールしています。また、そのヴィンテージの特徴が顕著に表れるため、非常に生産者の手腕が問われる農法とも言えます。