ザ・クレーン・アッセンブリー ディサイプルズ ナパ・ヴァレー 2016
これこそが、元祖プリズナーの味わいだった!と思わせるオールド・ヴァイン ジンファンデル。
フレンチオーク樽(新樽40%)にて12カ月熟成
評価
2016VT ワイン・アドヴォケイト:93点獲得
テイスティング・コメント
紫がかった暗赤色。粘性は高め。香りは熟したプラムやラズベリー、ダークチェリー、ジャムなどの豊かな果実香が広がり、ポプリやブラックペッパー、クローブ、バニラのヒント。微かなスモークと、甘さ、スパイスが共存する魅力的な香りで、モカ、リコリス、ナツメグ、タバコの葉、グリルした肉のニュアンスなど、その複雑さを増していく。口に含むとなめらかでクリーミー、まさにビロードのようなテクスチャー。凝縮感溢れる果実味ながら舌を包み込むように広がり浮遊感を覚える。タンニンはキメ細やかで溶け込んでおり、艶やかな酸味とのバランスが素晴らしい。飲み心地がよく、立体的かつ緻密な構造、アルコール度が15.7度と高いが、それを嫌みに感じさせず、クリーミーさと近づきやすさが印象に残る。アフターフレーヴァーの余韻は長く、チョコレートのパンやケーキを思わせる。合わせるお料理は、牛フィレやラム、鴨肉のロースト 鶏の香草焼き、すき焼き、焼き鳥、豚肉の生姜焼など。
2019年2月試飲
ザ・クレーン・アッセンブリー
原点に戻るディヴ・フィニーとその仲間
ワイン業界で短期間にスターの座に登りつめることは、非常に稀なことです。ディヴ・フィニーは1998年に旗艦ワインの『ザ・プリズナー』を含むオリン・スウィフト・セラーズを立ち上げ、その名を世界中に轟かせました。『ザ・プリズナー』は、その独特でダークなイメージのラベルと、印象深い味わいで、それまで注目されていなかったジンファンデル・ブレンドに脚光を浴びせ、ワイン・スペクテイターで2005年から2009年まで連続で「TOP100」に名を連ねました。フィニーは2010年にプリズナーのブランドをフネイス・ヴィントナーズに売却し、2016年春、それを世界最大級のワインカンパニー、コンステレーションが買収。フィニーは引き続きオリン・スウィフト・セラーズで製造監修を続けながらも、ほぼ同時期にそのブランドをE&J. ガロ・ワイナリーに売却しました。瞬く間に大きな成長を遂げたブランドとは別に、フィニーは共にオリン・スウィフトを始めたメンバーら二人とナパの栽培家との4人で、2012年新たなプロジェクトに着手します。これはセント・ヘレナの小さな8エーカーの畑を、収穫が始まるほんの数日前に手に入れたことから始まりました。
G.B.Crane Vineyard
100 年以上前にマヤカマス山脈から流れ出た砂利や土が残るこの畑は、1885年に初代の持ち主ジョージ・ベルドン・クレーン(George Beldon Crane=G.B.Crane)が当時盛んに行われていた“ミックス・ブラック”(赤ワインの多品種の栽培)で、ジンファンデルをはじめとする多くの品種を栽培していました。そのため単一畑といえども、同じ味わいのワインを造ることはまずありえない、ユニークなブレンドを生み出せるのです。ワイナリーの名前はこの方式に由来しています。今も4エーカーほどはクレーンが最初に植えた株が残っており、130年近くにわたり移り代わってきたオーナー達が大切に守ってきました。フィニーらは新しいオーナーとして、この畑の歴史や伝統をしっかり受け継いでいきたいと考えています。
もともと オールド・ヴァインのワインを造ることにこだわっていたフィニーらは、この特別な畑のブドウを使ったジンファンデル・ブレンド、『EL COCO』(エル・ココ)をリリース、そして逸品、カベルネ・ソーヴィニヨンを生み出しました。ラベルはプリズナーと同様、フィニーの独特な世界観を表現し、スペイン人 画家 フランシスコ・ゴヤの“Que viene el coco”(邦題:ほら、お化けが来るよ)からモチーフを使用しています。