ザ・クレーン・アッセンブリー エル・ココ ナパ・ヴァレー 2015
プリズナーを世に送り出した奇才、デイブ・フィニ―の新たなプロジェクト。ナパの歴史そのものと言える、樹齢130年、GBクレーンの畑から、フィールドブレンドをそのままボトリングした1 本。
評価
2015VT ワイン・アドヴォケイト:95点獲得
テイスティング・コメント
やや深みのある、紫がかったルビー。粘性は高め。完熟したプラム、ブルーベリーやラズベリーのコンポートを思わせる凝縮したアロマが印象的で、ラベンダーやローズマリー、シナモン、ナツメグなどのスパイスのヒント、レーズンやマンダリンの香りも感じられる。そしてバニラやトフィー、洋酒チョコなどの芳しさ。魅力的かつ複雑な芳香が溢れ出て、ジャムやスパイス、甘いタバコのようなスモーク香が混然一体となる。口に含むとスムーズで、まさにビロードのようなテクスチャー。“ディサイプルズ”もそうだが、「潤滑」の言葉に尽きる。香味がフワッと浮き上がるそれは感動すら覚え、味わいは豊かで広がりがある。純粋で、果実味が前に出る。上品な中にも親しみやすさがあり、加えて低い酸度から高いアルコール感(15.7%)を全く嫌みに感じさせず、エレガントなスタイルに仕上げている。ボディは中庸、ゴージャスなアフターフレーヴァーへと続く。合わせるお料理は、牛・ラム肉のロースト、ラムチョップ、ジビエ、焼き鳥など。
2019年2月試飲
ザ・クレーン・アッセンブリー
原点に戻るディヴ・フィニーとその仲間
ワイン業界で短期間にスターの座に登りつめることは、非常に稀なことです。ディヴ・フィニーは1998年に旗艦ワインの『ザ・プリズナー』を含むオリン・スウィフト・セラーズを立ち上げ、その名を世界中に轟かせました。『ザ・プリズナー』は、その独特でダークなイメージのラベルと、印象深い味わいで、それまで注目されていなかったジンファンデル・ブレンドに脚光を浴びせ、ワイン・スペクテイターで2005年から2009年まで連続で「TOP100」に名を連ねました。フィニーは2010年にプリズナーのブランドをフネイス・ヴィントナーズに売却し、2016年春、それを世界最大級のワインカンパニー、コンステレーションが買収。フィニーは引き続きオリン・スウィフト・セラーズで製造監修を続けながらも、ほぼ同時期にそのブランドをE&J. ガロ・ワイナリーに売却しました。瞬く間に大きな成長を遂げたブランドとは別に、フィニーは共にオリン・スウィフトを始めたメンバーら二人とナパの栽培家との4人で、2012年新たなプロジェクトに着手します。これはセント・ヘレナの小さな8エーカーの畑を、収穫が始まるほんの数日前に手に入れたことから始まりました。
G.B.Crane Vineyard
100 年以上前にマヤカマス山脈から流れ出た砂利や土が残るこの畑は、1885年に初代の持ち主ジョージ・ベルドン・クレーン(George Beldon Crane=G.B.Crane)が当時盛んに行われていた“ミックス・ブラック”(赤ワインの多品種の栽培)で、ジンファンデルをはじめとする多くの品種を栽培していました。そのため単一畑といえども、同じ味わいのワインを造ることはまずありえない、ユニークなブレンドを生み出せるのです。ワイナリーの名前はこの方式に由来しています。今も4エーカーほどはクレーンが最初に植えた株が残っており、130年近くにわたり移り代わってきたオーナー達が大切に守ってきました。フィニーらは新しいオーナーとして、この畑の歴史や伝統をしっかり受け継いでいきたいと考えています。
もともと オールド・ヴァインのワインを造ることにこだわっていたフィニーらは、この特別な畑のブドウを使ったジンファンデル・ブレンド、『EL COCO』(エル・ココ)をリリース、そして逸品、カベルネ・ソーヴィニヨンを生み出しました。ラベルはプリズナーと同様、フィニーの独特な世界観を表現し、スペイン人 画家 フランシスコ・ゴヤの“Que viene el coco”(邦題:ほら、お化けが来るよ)からモチーフを使用しています。