パゴ・デ・バリェガルシア プティ・イペリア 2015
醗酵:ステンレス・タンク オーク樽にてマロ・ラクティック醗酵
熟成:オーク樽熟11カ月(フレンチオーク、225L、新樽比率100%)
テイスティング・コメント
濃いガーネットに紫のトーン。粘性は高め。ブラックチェリーやラズベリー、カシス、スミレなどの華やかなアロマにドライハーブ、バルサミコ、ブラックペッパーのヒント。そして心地よい樽香にはトーストやチョコを思わせる。さらにリコリス、鉄っぽさ、タール、湿った土のニュアンス、背景にミネラルが感じられ洗練されている。口に含むとスムーズで、凝縮度が高く濃厚な果実味とアルコール感が支配する。甘いグリセリン分を含むボリューミーな味わいで、骨格を感じつつもふんわりとした柔らかな印象が勝る。しっとりとしていてクリミー。カベルネ・ソーヴィニヨンの力強さとカベルネ・フランの華やかさが絶妙のバランス。飲み応えがあり余韻も長く楽しめる。合わせるお料理は、牛・ラム肉のロースト、焼き肉、イベリコハム、シチューなど。
2019年3月試飲
パゴ・デ・バリェガルシア
最高の場所、最高のメンバーで造るスペインのボルドーブレンド
世界10大石油メジャー、レプソルの元CEOアルフォンソ・コルティナ氏が2001年に立ち上げた豪華プロジェクトが、パゴ・デ・バリェガルシアです。数々の企業のトップを務め経済界にも多大な功績を残してきたコルティナ氏には、一方で純粋なワインラバーとして長年ブルゴーニュとボルドーワインを愛飲してきました。そしてその思いはやがてワイナリー設立へとコルティナ氏を駆り立てることになります。
1997年に「モンテス・デ・トレド(以下トレド山地)」に家族が代々所有してきた土地にワイナリーに世界的に有名なオーストラリア人栽培コンサルタント、スマート・ダイソン氏を迎え入れ、最高の畑作りに着手します。2年後には最初の畑が整い、2001年に初収穫。以降4年間は近隣のワイナリーの施設を借りて、ワイン造りの実験を繰り返しました。1999年、醸造にはメドックの守護神の異名を取るエリック・ボワスノ氏を迎え入れ、スペインで見事なボルドーブレンドのワインを造りだすことに成功しました。
ワイナリーがあるトレド山地は、イベリア半島で最も小さな山脈ですがその複雑な地形と古代からの堆積物で知られ、特に畑のあるラニャ区画は北にカバニェロス国立公園、南に渓谷と山々を擁し、世界的に見ても特別なテロワールとして魅力を放っています。この稀有な隠れた地で動き出した夢のプロジェクトは、馬をシンボルとした美しいラベルとともに世界で愛されています。
パゴ・デ・バリェガルシアを象徴する馬のシンボル
これは美術品の収集を趣味とするオーナー、アルフォンソ・コルティナ氏の自宅に飾られている馬の彫刻に由来します。ラベルのデザイナーが自宅を訪問した際、この馬の彫刻にインスピレーションを感じ、ワイナリーのロゴとして、そしてワインのラベルに使うことになったのです。
プロが手入れをする稀有な畑
ワイナリーの畑があるモンテス・デ・トレドの標高850メートルの高地には、他にブドウ畑はありません。この地域の気候は大陸性気候で、非常に暑く乾燥した夏と非常に寒く湿った冬が特徴です。年間降水量は622mm。土壌はイベリア半島でも最も古い山々の浸食でできた強い酸性物質で構成されています。
総面積31haの比較的小さな、しかし稀有な畑は、オーストラリア人の栽培家Dr.リチャード・スマート氏の手により整備され、現在は5つの黒ブドウと一つの白ブドウがコルドン式で仕立てられていますが、剪定はスマート・ダイソン方式と呼ばれる独自の手法が活用されています。
畑は「ラ・ラニャ・デル・フレンソ」という区画(以下ラニャ区画)にあり、この区画はワイナリーの名前にもなったフィンカ・バリェガルシアの入り口にあります。ラニャ区画は、地質学的にはモンテス・デ・トレド地方を形成する石英岩の山塊の浸食による無数の沖積物からなり、地中には石英の層が見られます。ラニャ区画は高原にある平らな地域で南北1.5キロにわたり、ブドウ畑は14の区画で形成されています。ワイナリーは区画の中央に位置し、完全に畑に囲まれた見事なロケーションにあります。
ブドウ本来の味わいを尊重する
セラーでの哲学は明確です。ワイナリーの周囲に広がる優れた畑から丁寧に手摘みで収穫した完璧な成熟状態のブドウは、良いワインになるだけでなく瓶熟、樽熟成のポテンシャルが非常に高いワインになります。セラーではそのブドウの力を尊重したワイン造りを心がけています。そしてブドウ品種ごとの良さをきっちりと表現した味わいであることも、私たちにとっては大切です。