ベルナール・デュガ・ピィ ジュヴレ・シャンベルタン ヴィエイユ・ヴィーニュ 2015
樹齢70年におよぶ区画の村名ジュヴレ・シャンベルタン。ギュッと詰まった緻密な構造。凝縮感に溢れ、ストラクチャーもしっかりとしています。タンニンはキメ細かく豊富ですが、果実味によく溶け込んでいます。
熟成:オーク樽にて15~18ヶ月
テイスティング・コメント
紫がかった深いルビー。粘性は中程度より高め。香りはラズベリーやカシス、プラムなど力強い果実香が広がり、よく熟しつつも同時に新鮮味が感じられる。スミレやしおれたバラの花びらに、爽やかなメントールや森林の香り。そしてなめし革や大地、スモーク、鉱物、ミネラルなどその複雑さ・表情は多岐にわたる。口に含むとなめらかでピュア。凝縮感に溢れており2015年らしい良好なエキス分だが、しっかりとした酸度が感じられる。タンニンはビロードのようにキメ細かく果実味によく溶け込んでいる。しっとりとしていて艶っぽく上品なテクスチャー、旨みがギュッと詰まった緻密な構造をもつ。味わいは素朴で、現時点で若々しいが純粋な美味しさ。口当たりがよくしなやかで、余韻の長さも突出している。合わせるお料理は、ジビエ、鴨・仔羊のロースト プラムソース、赤身の肉料理、豚の角煮、マグロの赤ワインソース煮、チーズであればエポワスやシトー、コクのあるチーズなど。
2019年3月試飲
ベルナール・デュガ・ピィ
カルト的な人気を誇る生産者
従兄のクロード・デュガと並び、カルト的な人気を誇るベルナール・デュガ・ピィ。当主のベルナール・デュガはとてもエネルギッシュな人物です。日に焼けた顔。がっしりとした体格、巨大な手。日々、農作業に勤しむ姿がその風貌からも想像できます。
近年になってコート・ド・ボーヌにもブドウ畑を広げ、現在、所有畑の総面積は10ha。しかし、その要がジュヴレ・シャンベルタンであることに変わりはありません。村名ジュヴレ・シャンベルタンは複数の区画をアッサンブラージュした「キュヴェ・クール・デュ・ロワ」のほか、単一クリマで醸造される「レ・ゼヴォセル」。1級はフォントニ、コルヴォー、ペリエールをアッサンブラージュした畑名なしのキュヴェのほか、単一クリマものの「プティット・シャペル」「ラヴォー・サン・ジャック」「シャンポー」。特級は「マジ」「シャルム」「マゾワイエール」、そして王様「シャンベルタン」。2003年にすべての畑をビオロジック栽培に転換完了しました。
ご存知のとおり、特級マゾワイエール・シャンベルタンは隣接するシャルム・シャンベルタンを名乗ることも可能ですが、このドメーヌでは別々に醸造しています。正確にいえば、マゾワイエールが3分の1混ざったシャルムとマゾワイエール単独のワインがあります。最初に所有したマゾワイエールはシャルムと近接した区画で、土壌的な差が見られなかったため、シャルムに混ぜてひとつのキュヴェとしました。一方、2004年に新たに買い足したマゾワイエールは、グリザールの谷間から流れ出た洪石土により畑の表面を大きな石が覆います。ワインの性格もまったく違うため、ベルナールは単独のキュヴェにしました。試飲の順番はシャルムの後にマゾワイエール。後者のほうが圧倒的に堅牢なスタイルのワインです。
醸造法はクロード同様、低温マセレーションはなし。一方、完全除梗のクロードに対し、ベルナールはアペラシオンによって梗を残します。特級についていえば、量の少ないシャンベルタン(量的に恵まれた年でも1樽しか出来ない)とマジは100%全房。マゾワイエールは60~70%、シャルムは40~50%の梗を残しています。1級以上はすべてフランソワ・フレールの新樽100%熟成です。
「ジュヴレ・シャンベルタンは長期熟成させるべきワインだから、十分な抽出が必要」というのがベルナールの考えです。たとえ恵まれないヴィンテージであろうとも、彼のワインはとびきり濃厚な色調で人々を驚かせます。だからといって過度に重いワインかといえばそうではありません。緻密な構造とキメの細かなタンニンを中心に置きながら、新鮮味(ベルナールは遅摘みをよしとしない)も感じさせるバランスのよさ。熟成させるとこれまた素晴らしいのです。